パートナー様は、Windows XPのサポート終了にともなうPCの入れ替え需要が一段落している頃だろうか。そろそろ次のビジネス提案に着手したいと思うが、何から手をつけて良いのか迷っている方もいらっしゃるのではないか。そこで、今回は、Windows XP Post EoS(エンドオブサービス)をテーマとし、今後、注目の投資商材を日本マイクロソフト、インテル、日本ヒューレット・パッカードの3社に聞いてみた。 |
Windows XPサポート終了に向け、IT市場がかつてない盛り上がりを見せたことは、今も記憶に新しい。昨年から続くXP移行ビジネスがようやく一息ついたというパートナー様も多いはずだ。だが今も、Windows XP搭載PCを使い続けている法人ユーザーは決して少なくない。ある調査によると、2014年6月時点で法人市場のPCの7%弱に当たる約240万台のPCがWindows XP環境のままと見られている。こうした中、マイクロソフトは移行サポートの継続をパートナー様に強く呼びかけている。
Windows XPを継続利用する理由は、大きく二つに分けられる。一つは移行によって業務アプリケーションの運用に問題が生じるケース。互換性確認や動作検証の遅れもここに含めていいだろう。もう一つが予算化の遅れだ。
だが一方で、継続利用のリスクも十分に認知されつつある。そのためWindows XPユーザーの大部分は、インターネットから切断するなどのセキュリティ対策を行った上で、今後1、2年がかりでOS移行を進めると見られている。
Windows XPを継続利用する企業の割合は、業種によっても違いがあり、特に製造業においてその比率は高いと言われる。また地域によっても、その割合には違いがある。Windows XPを継続利用するエンドユーザー様に対しては、今後も継続的な営業活動を行い、移行ビジネスを確実に拾い上げていくことが大切になる。
Office製品との親和性の高さから、Windows 8タブレットは登場以来、法人ユーザーのタブレット導入の有力候補であり続けてきた。だがその一方で、タブレット上の操作性を強く意識したWindows 8は、従来のWindowsユーザーには馴染みにくいという声も少なからず存在した。
これを受け、2014年4月に提供が開始されたWindows 8.1 Updateは、「スタート画面への電源ボタンや検索ボタンの追加」や「マウス操作との親和性向上」など改善を実施。「その都度チャームを開いて操作しなければ、シャットダウンできない」など、Windows 8 / 8.1で不評だった操作性が大きく改善され、よりストレスの少ない移行が可能となった。
iOSやAndroidに対するアドバンテージはもう一つある。それはWi n d ows 7との親和性の高さだ。「iOS、Android、Windows 8.1のどれを選んでもOS混在環境が生じることに違いはない」という声もある。だがWindows 8やWindows 8.1の端末管理は、Windows 7と共通化することが可能だ。Windows 8.1タブレット提案は、エンドユーザー様にとっても有意なものになるに違いない。
なおマイクロソフトは2014年4月に米国で実施した開発者向けイベントで、9インチ未満のディスプレイを搭載したスマートフォンとタブレットに対してOSの無償提供を発表している。それによるWindows 8.1端末の低価格化は、法人市場におけるシェアをさらに高めることにつながると考えられる。
もう一つ注目したいのは、ストアアプリインストールに関するルールの変更だ。
Windows 8.1のストアアプリのインストールは、基本的にWindowsストアを経由して行う。だが企業が独自に開発した業務アプリなどの場合、「サイドローディング」によってストアを経由せずデバイスに直接インストールすることが可能だ。Windows 8 Enterprise、Windows 8.1 Enterpr iseまたはWindows 8.1 Proの場合Updateを適用すると、ドメインに参加することでサイドローディングが有効になる。また、それ以外のケースでも「サイドローディングプロダクトキー」を安価にまたは無償で取得し、ライセンス認証を行うことでサイドローディングが有効化される。
これにより事業規模を問わず、業務アプリの開発〜サイドローディングによるインストールが現実的な選択肢となる。これは中堅・中小規模のエンドユーザー様にとり、大きな訴求ポイントになるに違いない。また、販売管理(POS)アプリ、製品カタログなどの業務アプリ開発ニーズにもぜひ注目しておきたい。
日本マイクロソフト Windows本部 Windowsコマーシャルグループ シニアマネージャー 西野 道子氏は、「これまでは、Windows XPのセキュリティリスクをお伝えしてきましたが、今後は、新しいWindowsの機能性や先進性、そして、ビジネスでの有用性をお伝えすることで、リプレースにつなげていきたい」と話す。
2014年4月のOffice 2003サポート終了を受け、今年に入りOffice製品の販売も好調だ。Office 2003ユーザーの多くは、最新のOffice製品パッケージであるOffice 2013へと移行すると見られている。ここからもうかがえる通り、Office製品に対する信頼はきわめて高い。
こうした中、マイクロソフトはOffice製品の移行先としてOffice 365の活用を提案している。よく知られる通り、Office 365は従来のオフィス製品の機能を内包するクラウドサービス。パートナー様は、一般製品同様にそのライセンスを仕入れてエンドユーザー様に販売することが可能だ。
パートナー様にとってのメリットは、大きく二つに分けられる。一つはエンドユーザー様との関係性強化への寄与。Office 365の場合、毎年の契約更新が必要になるため、定期的な接触が発生することがその理由だ。またその多彩な機能の活用を図るため、SIやトレーニングなどのニーズが随時生じる可能性もある。
もう一つは、クロスセルの機会の拡大。Office 365は単なるクラウド版Office製品ではなく、グループウェアなどの機能も備える総合的なビジネスプラットフォームと呼ぶことができる。そのため、「Exchange OnlineとOutlookの組み合わせによる社員間のスケジュール共有及び、会議室等のスケジュール管理」、「企業向けクラウドストレージOneDrive for Business(旧名称:SkyDrive Pro)を使ったドキュメント管理」、「Lync OnlineによるWeb会議システム構築」など、さまざまな拡張提案が可能になるのだ。
中でも注目したいのが、Lync OnlineによるWeb会議システム構築だ。実は、近年Web会議システム市場は右肩上がりの成長を続けている。背後に「出張コストを削減したい」というニーズがあることは言うまでもない。また高額な専用機器を必要とするテレビ会議システムではなく、PCとWebカメラ、ヘッドセットなどがあれば遠隔地間の会議が可能になるWeb会議システムを選択する理由はその手軽さにあると考えられる。また、Web会議システムが、厚生労働省のテレワーク推進に関する助成金の対象となっていることも注目点の一つだ。景気回復に伴い、人材確保が大きな課題となろうとする中、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスなど勤務形態の多様化を通し、優秀な人材確保に取り組む企業も少なくない。Lync OnlineをはじめとするWeb会議システムは今後要注目のセグメントと言えるだろう。
各案件を取りこぼしなく受注へとつなげていく上で、エンドユーザー様との緊密な関係性の構築は今後さらに大切になるに違いない。
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