タブレットとPCのどちらでも快適に使えるOSとして、Windows 10が2015年末にもリリースされる。従来型の操作を一部“復活”させ、Webアプリケーション実行用のWebブラウザーを残すなど、ビジネス向けの配慮も十分だ。 PC用Windowsの新バージョンが2015年末にも登場する。製品名は「Windows 10」になる見込み。メジャーバージョン番号が「8」から「10」と1つ飛ばされてしまうわけだが、その理由は公式には明らかにされていない。 タブレットやスマートフォン向けの新機能を売りにしたWindows 8と違って、Windows 10はキーボードとマウスをおもに使うビジネスユーザーにとっての使いやすさも重視した設計になっている。 例えば、Windows 7までに存在していたスタートメニューはより本格的な形で復活。Windowsストアアプリ(旧称:Metroアプリ)もスタートメニューに割り付けできるので、Windowsストアアプリ重視派にも歓迎されることだろう。Windowsストアアプリは(全画面モードではなく)ウィンドーとして表示できるから、高解像度のディスプレーを使っている場合でもその大面積が無駄になってしまうことはない。 また、Surface Pro 3のような2 in 1タブレットの場合は、キーボードの脱着/折り畳みに合わせてタッチユーザーインターフェース(Windows 8風の画面)とデスクトップユーザーインターフェース(Windows 7風の画面)を瞬時に切り替える「Continuum」機能も使えるようになる。 ビジネスの現場で役立ちそうないくつかの新機能も投入される。 その一つが、ビジネスパーソンの“調べ物”を効率化してくれるパーソナルアシスタントアプリケーション「Cortana」だ。音声入力またはキー入力で質問を投げかけると回答が自動的に表示されるので、別の作業をしながらでも効率よく検索ができる。 また、84型(4K解像度)/55型(1080p)の大型モニター内に組み込まれたWindows 10 PC「Surface Hub」も近く登場する。Surface Hubはマルチタッチ操作とディジタルインクに対応しているだけでなく、カメラ、マイク、モーションセンサー(Kinect)なども内蔵。会議室などに設置してTV会議システムで利用すると威力を発揮することだろう。 業務アプリケーションとの関係では、Webアプリケーションの動作基盤となるWebブラウザーが2系統になることに注意を払う必要がある。 新機軸のWebブラウザー「Spartan」(コード名)は共有可能な手書きメモやCortana連携などの新機能が盛り込まれるものの、Webアプリケーションで使われることが多いVBScriptやカスタムActiveXコントロールには対応しない見込み。個人の生産性を高めるためのWebブラウザーとして位置づけになるものと見られる。 一方、企業向けには、Internet Explorer( Internet Explorer 11またはその後継バージョン)も提供される。業務システムをWebアプリケーションで構築している企業の場合、当面はこちらのWebブラウザーで従来のWebアプリケーションを稼働させ、可能なものについて段階的にSpartan対応へと切り替えていけばよいだろう。 なお、Windows 10は、販売開始後1年間、個人ユーザー向けにWindows Updateによる無償アップグレードサービスが提供される。厳密には、Windows 8.1 Pro/Windows 7 Professional以下のエディションは無償アップグレードの対象、同Enterpriseエディション以上の場合は個人ユーザーでも無償アップグレードは不可、Microsoft Software Assurance(SA)の契約者はSAの条項に基づいてアップグレードできるという扱いだ。 Windows 10の正式リリースまで、あと1年弱。まずは、延長サポート終了日が2017年4月11日に迫ったWindows VistaベースのPCについて、移行提案を行いたい。技術的にはOSだけの入れ替えもできるが、ハードウェアの購入からかなりの期間が経過しているので買い替え提案がビジネスの拡大につながる。