「IoT家電」は、「スマート家電」とも呼ばれ、iPhoneやAndroidなどのスマートフォンで操作することで、便利に使える家電製品のこと。インターネットと繋がっている家電製品である「IoT家電」は、黒物家電から白物家電へと広がっている。 IoTというキーワードは、ここ数年ですっかり市民権を得た。読者の方もご存じであろうが、IoTとはInternet of Thingsの略で、日本語では「モノのインターネット」などと訳される。要するに、これまでのインターネットは、人が操作するPCやタブレットから利用していたのだが、IoTでは腕時計やメガネなどのウェアラブル機器はもちろん、家電や車、センサーなどありとあらゆるものがインターネットに繋がることが想定されている。2020年には、インターネットに繋がるモノの数は、数百億に達すると予想されているほどだ。 このようにIoTは、非常に広い概念であるが、その中でも最近注目が集まっているのが、IoT家電である。その名の通り、インターネットに繋がる家電であり、黒物家電と白物家電の2つに大別できる。黒物家電はテレビやBDレコーダーなど、いわゆるAV機器であり、比較的古くからインターネットに接続する機能を備えている。当初は、IoT対応といっても番組表をインターネット経由で取得する程度であったが、最近は、自宅のBDレコーダーで受信中の番組や録画済みの番組を外出先からインターネット経由でスマートフォンなどを利用して視聴できる機能や他のユーザーが多数録画予約を入れている人気番組ランキングを取得することや、録画済み番組のメタデータを後から取得して、番組の目次を表示させることや番組内で紹介されたお店や商品などの情報を表示できる製品も登場している。 白物家電は、洗濯機や掃除機、冷蔵庫、調理家電、エアコン、空気清浄機などが代表だが、黒物家電に比べるとIoT化が遅れていた。しかし、一昨年辺りから、IoT対応製品が増えてきた。例えば、ルンバのロボット掃除機の最新モデル「ルンバ900シリーズ」は、WiFiに対応しており、専用アプリをインストールしたスマートフォンを使って外出先から清掃を開始したり、清掃状況の確認などが行えるほか、本体のファームウェアのアップデートなども可能だ。また、デロンギのヒーター「マルチダイナミックヒーター Wi-Fiモデル」では、Appleのスマートホーム規格「HomeKit」に対応しており、iPhone経由で電源のON/OFFや温度調節などが行えるほか、Apple TVがあれば屋外からの遠隔操作もでき、iPhoneのGPS機能を利用することで自宅に近づいたら自動的に部屋を暖めさせるといった使い方も可能だ。 調理家電では、シャープのヘルシオの最上位モデル「AX-XW300」のIoT対応が話題となった。AX-XW300はWiFi機能と音声対話機能を備えており、音声で話しかけて、手持ちの食材を使う献立メニューの相談ができる。この献立メニューは、本体に内蔵されているのではなく、インターネット経由でクラウド上にアクセスして取得しているため、季節の食材を利用したメニューなどが随時追加されていく。このように白物家電においても、IoT対応がトレンドとなっている。現状では、家電メーカー各社がバラバラにIoT化を行っていることが多く、メーカーを超えた製品間での連携はできないのが普通だが、メーカー間の垣根を越えて連携を行うために、スマートホームの共通規格が策定されている。前述したAppleのHomeKitも、スマートホーム規格の一つであり、海外ではHomeKit対応製品が少しずつ増えている。国内では「ECHONET Lite」というスマートハウスの標準規格が策定されており、ECHONET Liteに対応したエアコンや照明機器などが登場している。IoT家電関連は、今後の成長が見込まれる市場であり、デファクトスタンダードを目指して、競争が激化することが予想される。