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2018年3月時点の情報を掲載しています。
2017年は、ビットコインを代表とする仮想通貨への注目が急速に高まった年といえる。仮想通貨は暗号通貨と呼ばれることもあるが、仮想通貨を実現している根本的な技術がブロックチェーン技術である。ビットコインのような仮想通貨は一般的な通貨と異なり、一元的に管理する中央機関を持たない。ネットワークはピア・トゥ・ピア型であり、仮想通貨の取引(トランザクション)は、そのユーザー間で直接行われるのだが、その情報が記録されるのがブロックチェーンと呼ばれるデータベースである。ブロックチェーンは、その名の通り、ブロックと呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、チェーン(鎖)のように連結していくもので、分散型台帳とも呼ばれる。ブロックチェーンは誕生してから現在までの全ての取引を記録していくことが特徴であり、そのサイズはどんどん大きくなっていく。
ブロックチェーンは、ハッシュ関数を利用して、過去の取引データが改ざんされていないかを確認する仕組みがある。ハッシュ関数とは、元となるデータから一定の文字数の不規則な文字列(ハッシュ値)を生成する関数で、同じデータなら同じハッシュ値が生成されるが、元のデータが少しでも異なれば全く異なるハッシュ値が生成される。また、ハッシュ値から元のデータに戻すことはできない「不可逆性」を持っている。ブロックチェーンのブロックには、直前のブロックのハッシュ値が含まれるため、直前の取引データが改ざんされると、そのブロックに含まれているハッシュ値とあわなくなってしまうため、改ざんが発覚する。また、ブロックを追記する際に、正しいデータであるかを確認するために、有志のコンピューターリソースを使ってプルーフ・オブ・ワークと呼ばれる計算が行われる。これは、ハッシュ値と取引データに32bitの数値を足して、そのハッシュ値が非常に小さい数(先頭に0000…のように0がたくさん続く数)になる数値を探し出すというものだ。その32bitの数値を総当たりで試して見つけ出すのだが、その数値が見つかるのは非常に低い確率であり、膨大な計算が必要となる。その数値はナンス値と呼ばれ、ナンス値を見つけ出すことが、いわゆる仮想通貨の採掘(マイニング)である。ナンス値を見つけることで、ブロックチェーンの追記が可能になるため、その見返りとしてナンス値を見つけた人に報酬として仮想通貨が支払われるのだ。この報酬は、新たに発行された仮想通貨によって支払われるため、この瞬間に仮想通貨が新規発行され、その総量が増える。つまり、仮想通貨のマイニングとは、ブロックチェーンを健全な状態で保ち続けるための仕事なのだ。
このように、ブロックチェーンには、みんなが分散して持ち合い、みんなで使えて、誰も改ざんできないという特徴があるため、その特徴を活かして仮想通貨以外の用途に使おうという動きも活発になっている。例えば、金融や決済、不動産取引やポイントサービスへの適用、食品の流通経路の管理、農業支援、個人の特定、データの証明など、さまざまな分野でブロックチェーンの実証実験が始まっている。
なお、ビットコインのブロックチェーンは、パブリック型と呼ばれるもので、誰からも許可を得ることなくネットワークに参加でき、取引の承認を行うことができるが、単独の機関が管理し、その管理者によって許可されたノードしかネットワークに参加できないプライベート型と呼ばれるタイプもある。仮想通貨のほとんどは、パブリック型のブロックチェーンを利用しているが、金融業界が実証実験を行っているブロックチェーンは、プライベート型が中心である。また、プライベート型とパブリック型の中間として、コンソーシアム型と呼ばれるブロックチェーンもある。プライベート型は、ブロックの認証に時間がかからず、取引が高速に行えることがメリットである。
text by 石井英男
1970年生まれ。ハードウェアや携帯電話など のモバイル系の記事を得意とし、IT系雑誌や Webのコラムなどで活躍するフリーライター。
ブロックチェーンの概念図。各取引データが順番にブロックに格納されているが、それぞれのブロックが直前のブロックとハッシュ値で繋がっているので、改ざんが非常に困難である。
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