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2006年7月時点の情報を掲載しています。
先日、マーケティング講義を持つ専門学校で、99人の学生(平均年齢20.4才)を対象とした調査を実施しました。調査内容は、ある企業のロゴを見せて、簡単な質問から企業のブランドイメージを測ることを目的としたものです。
最初に、企業のロゴを印刷したものを、男性93名・女性6名に見せました。その際、当該企業に関する情報提供は、もちろんしません。また、知人などから情報を得られないように、私語を禁止させました。
「ロゴの企業を知っていますか?」と、最初の質問をしました。その企業のロゴは、アルファベットを丸文字でデザイン処理したようなものです。回答は、1)知っている、2)知らない、3)ロゴは見たことがあるが企業名は知らない、の3つから選択させました。
結果は、その企業の方が聞いたらショックを受けそうですが、1)知っているが9名、2)知らないが64名、3)ロゴは見たことがあるが企業名は知らないが26名でした。全体の約9.1%の若者しか、その企業を知らなかったのです。続いて「ロゴの企業名を書きなさい」と指示したところ、当該企業名をきちんと書くことができた若者は10名、約10.1%しかいませんでした。また、「ロゴの企業の商品・サービスで利用したことがあれば、それを書きなさい」と指示したところ、実際にその企業が取り扱っている商品・サービスを記述できた若者は5名、約5.1%でした。
たかがロゴの簡易認知調査とあなどってはいけません。「この企業の商品・サービスを購入したことがありますか」という質問に対して、実際に販売しているものを挙げた若者は約4%だったのです。この数値は当該企業の主要商品の国内市場シェアに非常に近いものでした。これは、偶然でしょうか?筆者は仮説を立てました。それは「企業名を告げずにロゴを見せ、購入した商品名を書かせると、その企業の市場占有率を把握できる」というものです。
日本でロゴとかロゴマークと呼ばれるものは、英語ではロゴタイプ (logotype) に相当します。ロゴは、会社名(商号)、商品名、雑誌名、書名などをあらわす、図案化・装飾化された文字列です。社名ロゴに関していえば、看板や名刺、封筒、レポート用紙、領収書などの伝票類などにいたるまで使用されています。一方、商品名ロゴは、パッケージや商品本体、マニュアル、保証書などに使用されています。雑誌名・書名ならば、表紙・背表紙などに印刷されています。もちろん、多様な媒体広告にもロゴは頻出します。
ロゴの使用目的は、一般の文字・活字・書体とは違い、特別なものを用いることで、その対象物の独自性を訴求することにあります。企業などでは、コーポレート・アイデンティティやブランド・アイデンティティの一環として、企業イメージの創出のために、ロゴを使用しているわけです。
調査を終えて、フリートークの時に、「どうしてその企業名を挙げたのか?」と質問してみましたら、書体が似ている、ロゴからの印象、ロゴに記された文字からの連想などと答えた若者がいました。なるほど、ある生徒が記した企業のロゴは、調査対象企業とデザイン的に似ていました。
「売れる」ことの第一歩は、消費者に「知っていただく」ことです。それに、消費者の「知りたい」という心理に合致していないロゴを採用することは危険です。それは、何故でしょうか?「ロゴの企業のライバル会社はどこだと思いますか?自由に書きなさい」と指示したところ、33人が記述し、実際に競合商品を出している企業を記述した若者が8人だったのに対し、そうではない企業を記述した若者が12人もいたからです。ロゴの機能から考えた場合、自社のロゴや商品・サービスのロゴが、消費者にどのような印象を与えているか、調査してみる価値があるでしょう。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
【コラム】「売れるショップに売れる人」
・第7回 現代に通じる近江商人の心意気 【Vol.26】
・第6回 業務フローを共有できる組織作りが大切 【Vol.25】
・第5回 オリジナルのランチェスター戦略の構築を 【Vol.24】
・第4回 交渉に大切な5つのポイント 【Vol.23】
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