今でも多くの企業が古いLinux OSを利用しているが、最新のハードウェアでは動作保証されないという問題を抱えている。その解決策としてサイオステクノロジーは、仮想化技術を利用した旧Linuxサーバの持続稼動ソリューション『Virtual
Linux Sustaining Solution』(以下、Virtual LSS)を10月から提供開始した。これにより、古いLinux環境で稼動しているアプリケーションを最新のハードウェアで継続的に運用することが可能になる。
サイオステクノロジーでは、これまでLinuxアップデートサービスというソリューションを提供してきた。これは、すでにレッドハット社のサポートが終了した『Red
Hat 6.2〜9』のユーザーに対して、セキュリティのアップデートファイルなどを提供するサービスだ。ところが、ハードウェアについては、ユーザーが3〜5年前に購入したものは当初のメーカーサポートが終了しているケースがほとんどだ。そのため、ユーザーの多くは、万一ハードウェアに障害が発生した場合、現行のシステムを復旧できないのではないかという不安を抱いている。また、『Red
Hat Enterprise Linux V2.1』や『MIRACLE LINUX Standard Edition V2.1』などの比較的古いLinux
OSは、今でも多くの企業で稼動しているが、販売開始から3年以上経っているので、新しいハードウェアでは動作検証されていない。実際にハードウェアベンダ各社は、古いLinux
OSは動作検証していないことを公表している。そのため、既存の古いLinux環境で新たにシステムを構築したいと思っても、現在、販売しているハードウェアでは動作が保証されないので、ユーザーにとっては大きな悩みの種となっている。
そこで、古いLinuxのシステムを最新のハードウェアを使って持続的に動かすためのアイデアとして、仮想マシンを使う方法が注目されている。これは、既存のソフトウェア環境をまったく変更しないで、最新のハードウェアにそのまま移行する技術だ。新しいハードウェアに移行した後も、ユーザーは今までどおりにシステムを利用できるようになり、アプリケーションのバージョンアップも必要ない。また、仮想マシン上に現行のシステムを移行すると、最新のOS環境も同じマシン上に構築できるようになるので、新たにハードウェアの投資を行うことなく、最新OS上への移行テスト環境を準備できる。仮想マシンを1台立てるだけで済むので、コスト的にもかなりのメリットがある。
ところが、ユーザー側で現行のシステムを仮想環境に移行することは現実的に難しい。というのも、仮想化技術はIAサーバの分野ではまだ浸透していないため、仮想化技術について熟知しているエンジニアが社内に少ないからだ。そのため、実際にどうやって移行したらいいのかわからない場合が多い。また、現在、IAサーバ上で稼動する仮想化ソフトウェアはいくつかあるが、その中から自社のシステムにどれが適応できるのか判断しにくい。たとえ仮想化ソフトウェアを購入しても、それがきちんと自社のシステム環境で動作するのか保証がない。そのため、仮想環境への移行を躊躇しているユーザーが多い。
こうしたLinuxユーザーが抱えている悩みを解消してほしいとSIerや販売代理店からの要望を受けていたため、今回、サイオステクノロジーがユーザーに代わって、実際に仮想環境で動作可能か診断するサービスの提供を開始したのだ。それが、仮想化技術を利用した旧Linuxサーバの持続稼動ソリューション『Virtual
LSS』である。