日本の大企業では、ひとつの企業なりグループの中で完結して製品が作られるという、いわゆる垂直分業で行われるのが一般的です。自動車生産が典型的です。B
to Bビジネスとして市場を通じて横に繋がる企業間取引が行われていません。
米国でIT化によって経済が構造的に大きく変わったことは、経済活動が垂直分業から水平分業に移行したことなのです。米国の多くの企業が、水平分業的に業務をすすめています。これに対して日本の企業は、相変わらず縦系列で業務を進めていて、水平分業に対応していないのです。企業取引において、ネットワークを通じた水平分業への移行は、日本全体で考えると残念ながらまだ見られませんね。言い換えれば、企業のB
to B ビジネスは、まだこれから進展する潜在力を持っているといえるのではないでしょうか。
P r o f i l e
1940年東京生まれ。1963年、東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D. (経済学博士号)を取得する。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『「超」整理法』(1993年)『1940年体制―さらば戦時経済』(2002年)『日本経済は本当に復活したのか』(2006)ほか多数。近著に『資本開国論 新たなグローバル化時代の経済戦略』(ダイヤモンド社)がある。