大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2007年7月時点の情報を掲載しています。
ITとビジネスが切っても切れない関係になり、もはや目の前にPCがなければ得意先と連絡を取ることも、発注書も作れない状況にある企業にとって、そのPCと社内システム全体の維持管理は、重要な課題となっている。かつて、パソコンが個人の文房具として便利さだけが注目されていた頃とは違う悩みが、企業のIT担当者にはのしかかっている。それを解決する糸口が、システム監視ツールの存在だ。
ビジネスのよきパートナーであるITのために
データベースやWebサーバに業務システムのような、はじめから業務やビジネスで利用することを前提として導入したITの多くは、設置の段階からセキュリティへの対策や、安定した稼働のための対策を採られている例が多い。それに対して、個人が端末や文房具の替わりに利用しているPCでは、ウイルス対策などは導入していても、本格的なセキュリティ対策や内部統制に求められるシステム監査などを導入している例は少ない。企業によっては、PCそのものの購入が現場の決済に委ねられ、社内にどのくらいのPCが存在し、ネットワークにはどのように接続されているのか、正確に把握できない状況もある。PCが安価になり、手軽に購入できるようになったことで、管理部門のコントロールを失ったPCが、社内で大量に稼働している例も多い。
もちろん、現在のビジネスの多くが、ネットワークに接続されたPCの存在なくして成り立たなくなっている現状はある。電子メールやWebアクセスをはじめとして、ファイルの共有や社内システムへのアクセスなど、便利な文房具としてだけではなく、業務の遂行に欠かせない情報端末として、PCの存在は重要さを増している。それだけに、そのよきビジネスのパートナーであるIT全体を安全に守るための取り組みが求められているのだ。
システム監視が必要になる背景とは
これまでの連載でも、ネットワークやシステムを守るために重要なシングルサインオンやアクセス制御などのセキュリティ・ソリューションについて採り上げてきた。しかし、そうしたソリューションを検討し導入するよりも前に、IT担当者が取り組むべき課題が、社内システム全体の稼動状況を正確に把握するシステム監査ツールの導入だ。いまや、ビジネスで利用されるITの多くが、オープンシステムへと移行しつつある。
WindowsやLinuxに代表されるOSを低コストで運用できるオープンシステムのプラットフォームは、コンパクトなミニタワー型のサーバから、大規模なブレードシステムや多ノードサーバにいたるまで、豊富なラインナップを取り揃えている。どの製品を選んでも、IAサーバに代表される機器では基本的なアーキテクチャが共通なので、製品コストに応じた性能を得られる利点がある。
オープンで価格も性能もガラス張りになっているIAサーバ製品だが、そこには価格だけではわからない違いもある。高価なシステムは、特に安定稼働と信頼性に違いがある。電源やシステムユニットが多重化されていたり、システムが安定的に稼働しているかを絶えずモニタリングして監査する仕組みが備えられている。反対に、安価なIAサーバの場合には、こうした部分でコストが削減されている。
同様なIAサーバのアーキテクチャを採用していても、システムの安定性に違いが出る部分は、特に運用監視にある。CPUに異常な負荷はかかっていないか、メモリの容量は足りているか、ハードディスクは安定に稼働しているか、ネットワークに障害はないかなど、さまざまな監視ポイントを的確にモニタリングして、運用を見守る仕組みの有無が、オープンシステムの安定稼働にとっては大きなポイントになる。
さらに、最近ではシステム監視だけではなく、セキュリティ対策にもシステム監視ツールが利用されるケースが増えている。異常なアクセス数や、ネットワークに接続されているサーバとクライアントの状況を把握して、不正なPCの接続やアクセスはないか、異常なトラフィックの流れや、意図しない大量データの流出などがないか、情報そのものの安全性を見守る取り組みも進んでいる。
安全と安心への投資がビジネスの円滑な成長をサポートする
システム監視ツールには、ネットワークに接続されているすべてのPCを検査して、その情報を収集する能力もある。その機能を活用すれば、社内で稼働している全PCとサーバの情報を正確に集めることができる。ある大手IT企業では、そうした監視ツールを使って、社員数の二倍近いクライアントPCが稼働していた事実を発見したという。状況を把握した結果、一人で複数台のPCを利用する危険性に配慮して、一人一台という制限を実施し、不要なPCを廃棄したことで、コスト削減も可能になった。また、全システムを正確にデータベース化したことで、IT機器に対する的確な更新や廃棄が可能になり、IT投資の最適化も実現した。
それほど大規模ではなくても、数十台以上のPCが稼働している企業であれば、システム監視ツールの利用は、IT管理者の負担を大きく軽減する効果が期待できる。高度な統計分析機能を備えたシステム監視ツールであれば、PCにトラブルが発生する前に、その予兆を感知して警告することもできる。
安定稼働とIT資産の正確な把握とセキュリティ対策の一環、そして障害予防や社内サポートの充実などシステム監視ツールを活用する効果は大きい。こうした効果だけではなく、社内のシステムを正確に把握し、その問題を洗い出すことは、オープンシステムの運用にとって重要な課題でもある。今後は、システムそのものの変更監視や、アクセス結果のログ収集、内部統制やコンプライアンスといった観点からも、システムに対する監視の必要性が問われてくる。そうした課題に応えるためにも、システム全体をモニタリングする取り組みは、一部の大手企業だけではなく、ITをビジネスに活用している企業すべてに求められる。
ビジネスのためのITといえば、どちらかというと、業務システムやビジネスモデルに沿ったソリューションやアプリケーションに目がいきがちだが、セキュリティと安定稼働に加えてコンプライアンスという観点から、改めてシステム監視ツールの採用を検討してみるのも、意義のある取り組みだろう。
田中 亘氏
筆者のプロフィール/筆者は、IT業界で20年を超えるキャリアがあり、ライターになる前はソフトの企画・開発や販売の経験を持つ。現在はIT系の雑誌をはじめ、産業系の新聞などでも技術解説などを執筆している。得意とするジャンルは、PCを中心にネットワークや通信などIT全般に渡る。2004年以降、ITという枠を超えて、デジタル家電や携帯電話関連の執筆も増えてきた。
■ サーバ監視ツール『BOM for Windows Ver4.0』(セイテクノロジーズ)
ディスク容量監視画面
サーバのディスク容量を監視するための諸設定を行う監視画面
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