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2020年9月時点の情報を掲載しています。
日本のスマートフォン市場では、iOS搭載のiPhoneシリーズの人気が依然として高く、半数以上を占めているが、世界シェアを見てみると、iOSのシェアは約3割、残りの約7割がAndroidとなっている。Androidは、ほぼ毎年メジャーバージョンアップを繰り返しており、2018年にはAndroid 9が、2019年にはAndroid 10の正式版が公開されている。スマートフォンに搭載されるCPUやカメラ、ディスプレイなどは、年々高性能化・高機能化が進んでおり、ハイエンドモデルでは10万円を越える製品も珍しくなくなっている。反対に、中国メーカーなどのエントリーモデルでは2万円を切る製品も多く、スマートフォンのスペックや価格の二極化が進んでいる状態だ。Android自体もバージョンアップにより、機能が増え、以前に比べると多くのリソースを要求するOSになりつつある。そのため、ハイエンドモデルでは軽快に動いても、エントリーモデルでは動作が遅くなるという不満があった。そこで、Androidの軽量版として開発されたのが、「Android Go edition」(以下Android Go)である。Android Goは、2017年のAndroid 8で最初に投入され、メモリ(RAM)容量が1GB以下のデバイスを意図して設計されている。Android Goでは、軽量化のためにインターフェースが多少異なっており、Playストアもメモリをあまり使わないアプリが強調表示される仕組みとなっている。
Android Goを採用したデバイスは、現時点では日本ではキャリアなどからの正式販売はされていないが、インドや南アフリカ、アメリカ、ブラジルなど世界120カ国以上で販売されている。Android Goは、プリインストールアプリも軽量版に差し替えられている。例えば、YouTubeはYoutube Goへ、GmailはGmail Goへ、GoogleフォトはGallery Goへと差し替えられている。それぞれ基本的には機能限定版となっているが、YouTube Goでは、通信品質があまり高くない新興国でも使えるように、動画をダウンロードすることが可能になっている。
Android Goは、機能をよく使われるものに絞ったことで、OS自体のサイズ(フットプリント)が通常のA n d r o i dに比べてかなり削減されている。例えば、通常のAndroid 9が占有するサイズは5.5GBなのに対し、同じバージョンのAndroid Goの占有するサイズはわずか2.5GBとなっている。スマートフォンのハイエンドモデルならストレージ(フラッシュメモリ)を128GB〜256GB程度搭載しているが、価格を抑えたエントリーモデルでは16GBや8GBしか搭載していないモデルが多い。ストレージ8GBモデルの場合、通常のAndorid 9ならユーザーが使えるエリアはわずか2.5GBとなるが、Android Goならユーザーが使えるエリアは5.5GBとなるわけだ。
Android Goを採用したデバイスは、スペックが低くても快適に動作することが利点だが、前述したようにこれまでは日本の大手キャリアやMVNO事業者からは、Android Go搭載モデルは販売されていなかった。メモリが1GBや2GBのモデルでも、デバイスメーカーはAndroid Goではなく通常のAndroidを選択することができたからである。しかし、Googleは今後、その方針を変更するようだ。2020年9月9日に最新のAndroid 11の正式版が公開されたが、2020年第4四半期以降、Android 10またはAndroid 11を採用するメモリが2GB以下のデバイスは、Android Goを搭載することが求められるようになるという。これにより、エントリーモデルのパフォーマンスが上がり、使い勝手も向上することになるだろう。いわば「名を捨てて実を取った」わけだ。そのため、2020年第4四半期以降、日本国内でもAndroid Go搭載デバイスが正式に発売される可能性が高くなったといえる。複数レンズを搭載した高画素カメラ搭載機やゲーミングスマートフォンなど、個人がプライベートで使うデバイスとしては、フルスペックのAndroidを搭載したハイエンドモデルが向いているだろうが、リモートワークをはじめとする働き方改革のために会社が支給するデバイスとしては、低コストでも快適に使えるAndroid Go搭載デバイスが向いている。
text by 石井英男
1970年生まれ。ハードウェアや携帯電話など のモバイル系の記事を得意とし、IT系雑誌や Webのコラムなどで活躍するフリーライター。
XiaomiのAndroid Go搭載スマートフォン「Redmi Go 」。メモリ1GB 、ストレージ8GB 。実売価格は8,400円程度だが、軽快に動作する。
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