大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
|
News
|
にっぽんの元気人
|
巻頭特集
|
第2特集
|
Focus
|
コラム
|
イベント
|
バックナンバー
|
vol35以前のバックナンバー
|
2019年5月時点の情報を掲載しています。
PCやタブレット、スマートフォンなどのディスプレイとして、最も広く使われているのが液晶パネルである。液晶パネルはディスプレイデバイスとして、数十年の歴史があり、完成度の高いデバイスに進化してきた。最近は、有機EL(OLED)やマイクロLEDといった、新方式のディスプレイデバイスも登場しているが、すぐに液晶に取って代わるというものではない。液晶パネル自体も、まだまだ進化を続けているのだ。そこで、PCやスマートフォンで今後採用される可能性が高い液晶の最新技術について解説する。
PC 向け液晶ディスプレイや液晶一体型P C 関連では、量子ドット技術(Quantum Dot)に注目したい。実は、量子ドットという名称で呼ばれる技術はいくつか存在しているのだが、液晶パネルに用いられる量子ドット技術とは、ナノサイズの半導体結晶により、光を他の色の光に変換する技術のことだ。一般的な液晶パネルでは、バックライトの白色光をカラーフィルターでR G Bの3原色の光に変えているが、カラーフィルターの代わりに量子ドット技術を使うことで、色変換時の損失を抑えることや、表現色域を広げることが可能になる。
量子ドット技術は、大型テレビなどでは数年前から実用化されているが、コストなどの問題もあり、PCの世界ではこれまで使われてこなかった。しかし、2019年1月に米H Pが量子ドット技術を採用し、DCI - P3カバー率93%の27型液晶ディスプレイ「HP Pavilion 27 Quantum Dot」を発表、2019年2月にはアイ・オー・データ機器が量子ドット技術を採用し、Adobe RGBカバー率99%の31.5型液晶ディスプレイ「LCD-AD191SE」を発表した。どちらも、広い色域が魅力の製品であり、今後は、液晶ディスプレイだけでなく、液晶一体型PCやモバイルワークステーション、ゲーミングノートPCといったハイエンドPCで、量子ドット技術を採用する製品が登場してきそうだ。
タブレット関連では、液晶パネルの高解像度化と薄型軽量化がトレンドである。革新的な新技術というより、既存の技術を改良していくことで、10型クラスでも4K解像度の液晶パネルを採用する製品が増えていくであろう。4Kの動画コンテンツも増えており、タブレットでも高精細な画面が楽しめるようになる。
スマートフォン関連では、指紋センサー内蔵液晶パネルに注目したい。スマートフォンは、年々大画面化が進み、前面のほとんどを液晶が占める、いわゆるベゼルレスデザインが主流となっている。従来、指紋センサーは背面や前面の液晶パネルの下などに設置されていたが、ベゼルレスデザインのスマートフォンでは、前面に搭載するスペースが取れなくなった。そこで、液晶パネルの内部に指紋センサーを搭載することで、ベゼルレスと使い勝手の良さを両立させたスマートフォンが登場した。日本ではU Q モバイルから販売される中国OPPOの「OPPO R17 Neo」は、日本初のディスプレイ内指紋センサーを採用したスマートフォンであり、液晶パネルの下部中央に指をあてるだけで認証が可能だ。OPPO R17 Neoでは、液晶パネルの全ての場所に指紋センサーが搭載されているわけではなく、指紋を認識する場所は下部の中央付近のみだが、サムスンは、どこを指で触っても指紋認証が可能な表示デバイスに関する特許を最近取得しており、2020年にも全画面指紋認証対応のスマートフォンが登場する可能性は高い。
text by 石井英男
1970年生まれ。ハードウェアや携帯電話など のモバイル系の記事を得意とし、IT系雑誌や Webのコラムなどで活躍するフリーライター。
量子ドット技術を採用した27型液晶ディスプレイ「HP Pavilion 27Quantum Dot(」日本での発売は未定)
【進化するIT基礎技術の可能性】
・第39回 無線LANの高速化、安定化を実現する「メッシュネットワーク」とは【Vol.102】
・第38回 無線LAN技術のさらなる革新「802.11ac Wave2」と「IEEE 802.11ax」【Vol.100】
・第37回 5GHz動作の28コアCPUがPCに搭載?スマートフォン用SoC「Snapdragon」もさらに進化【Vol.99】
・第36回 ノートPC向けCPUとして初の6コアを実現した第8世代Core iプロセッサ【Vol.98】
・第35回 仮想通貨の中核となるブロックチェーン技術とは【Vol.97】
・第34回 RFID(Radio Frequency IDentification )とビーコンの最新動向【Vol.96】
本紙の購読申込み・お問合せはこちらから
Copyright 2019 Otsuka Corporation. All Rights Reserved.