後継者が育たない 筆者はITPro系の様々なユーザコミュニティに顔を出していますが、そこで頻繁に出てくる話題が「システム管理の後継者が育たない」というものです。特に中小企業では、ほぼ共通した悩みといってもよいでしょう。今回は、そうした悩みに応えてみたいと思います。 実は中小企業でも、公式のシステム運用管理者が1名以下ということはほとんどありません。数名からなる「情報システム管理委員会」といった組織が作られているところもあります。ところが、そのメンバーの実態は次のようなものです。
本来であれば、こうした委員会メンバーの中から実務的な後継者が育ってほしい、というのが会社側の望みでもあるのでしょうが、現実にはなかなかうまくいかないようです。 仕事を明示化しないと人は育たない 筆者もこうした経験は何度もありますが、実は「後継者が育たない」というのは表層的な問題であって、本当の問題は「システム管理業務の内容が明示化されていない」という問題に尽きると思っています。仕事の質と量が属人的になっているのです。 システム管理という業務の内容が明確になり、周囲や上司がそれを理解すれば、会社としては「育たない」といって放置しておくことはできません。結果として、社内で「育てる」か、もしくはアウトソーシングするといった手を打たざるを得なくなります。 本気で後継者を育てたいと考えているシステム管理者は、その前に自身の仕事を明確に説明できる必要がある、ということになります。では仕事の内容を明示化するにはどうすれば良いのでしょうか。 2つの方向でツールを活用 ひと言で「仕事の内容」といっても、現実には『あるべき姿』と『実際の姿』があります。システム管理という仕事は、既存システムのオペレーションだけではありません。将来のあるべき姿に向かって、チャレンジしていく仕事も多く含まれています。 『あるべき姿』の中で、オペレーションとして標準化されている仕事であれば、UMLのユースケース図やシーケンス図などを使って、業務を明示化することができます。UMLに慣れていない場合はフローチャートでも書けます。最低でもこれを明示しておかなければ、業務の引き継ぎすら困難です。こうした図をExcelで描いている人が多いようですが、ぜひとも効率的なツールを使って下さい。Microsoft OfficeのVisioや、オープンソースのEclipse Plug-Ins AmaterasUMLが秀逸です。 問題は後者の『実際の姿』です。システム運用やユーザのトラブル対応、突発的なシステム改修要求などがありますが、こうした記録が作業日報などに埋没していないでしょうか。 これらの仕事を記録するツールとして、ぜひお勧めしたいのはオープンソースのTracです。ソフト開発用のバグトラッキングシステムとして有名ですが、障害対応などの記録やプロジェクト管理にも使うことができます。筆者が特に好んでいるのは、インストールが簡単なTrac Lightningというものです。 こうしたツールを活用し、『実際の姿』を記録・共有していくところから始めてみることをお勧めします。
【目から鱗のI T 夜話】 ・第8夜 ペーパーレスよ、もう一度 【Vol.43】 ・第7夜 20年に一度の危機と向き合う心構え 【Vol.42】 ・第6夜 中小企業の社員が一丸となるにはコレが決め手! ? 【Vol.41】 ・第5夜 グリーンITへの本音 【Vol.40】