7月22日に開発を完了したWindows 7は、9月1日から企業向けボリュームライセンスの販売を開始した。RC版の段階でメディアを含めた前評判も良く、コンシューマ市場ではVistaの買い控え現象が起こるなど、高い盛り上がりを見せている。その一方で景気低迷の影響下にあるビジネス市場では、Windows 7導入に対して、様子見の企業が多いのが現状だ。ほとんどがXPを活用している企業ユーザは、ハードウェアのスペック不足やアプリケーションの互換性への不安もあり、単なるOSのアップグレードではなく、PCの買い替えやWindows Server 2008への投資も含めたサーバ環境の見直しも必須となっている。その中で、マイクロソフトにWindows 7導入の最適なシナリオについて聞いた。 |
Windows 7に対して期待はしているものの、導入にあたっては不安や疑問を抱えている企業ユーザも多い。そんな中、パートナー様に求められているのは、顧客の将来を見据えた計画的なロードマップを提示し、明確な導入メリットを伝えることだ。マイクロソフトでは、Windows 7導入の意義やビジネスチャンスをどのように捉えているのか。コマーシャルWindows本部 プロダクトマネジメント部 シニアエグゼクティブプロダクトマネージャの細井智氏に聞いた。
「8月末時点で、早期導入や採用表明をいただいた企業は、我々の予想していた75社を倍以上も上回る163社に達しています。国内でのWindows 7に対する期待は、かなり高いと受け止めています」と細井氏は切り出す。
「調査会社のIDCのデータによれば、国内で稼働している法人向けのPCは、トータルで約3,400万台です。その中で、Windows 7対応の条件を満たしている目安となる2006年以降に購入されたPCは、約1,820万台と推定されています。残りの約1,631万台は、Windows 7を利用するためにPCの買い替えが必要になるでしょう」(細井氏)
また、移行のスピードについて、IDCは、2010年には企業向けに出荷されるOSの半数がWindows 7になり、さらに2011年には、約75%のシェアを獲得するとも予想している。
調査会社ITRの試算では、ユーザ数1,500人規模の企業においてWindows 7を導入した場合とWindows XPを継続利用した場合の2つのセキュリティコストを比較した結果、Windows 7を導入することで、3年間で約65%、2,300万円のセキュリティコストの削減効果が得られると試算している。
「こうしたメリットを訴求していくことで、Windows 7導入をパートナーの皆様のビジネスチャンスにしていただけると考えています」と細井氏は語る。
Windows 7を企業に提案するにあたり、抑えておくべきポイントが製品の種類(エディション)だ。Windows 7には、全部で5つのエディションがある。この中で、個人向けの製品がHome Premiumになり、法人向けがProfessionalとEnterpriseに分かれる。さらに、個人や法人を問わず、最上級のWindows 7としてUltimate。NetBookなどを想定したプリインストール専用版のStarterがある。
「企業向けのWindows 7としては、少なくともドメインへの参加と暗号化、それにネットワークのバックアップ機能が必須になると、我々は考えています。そのため、企業ユーザ向けのメインストリームとしては、Windows 7 Professional (以下Professional)が基本になると思います」(細井氏)
Professionalは、いわばWindows XP Professionalの後継版にあたる存在だが、その機能は大きく強化されている。Windows 7環境でのレガシーアプリケーションの互換性の切り札と言われる「XP Mode」を搭載。さらに、パワーマネジメントによる省電力機能でバッテリの持続時間の向上を実現するなど、モバイルPCへの対応が強化されている。企業にとってのPC活用は、生産性の向上と安全性の確保にある。Professionalでは、Active Directoryによるドメインへのログイン認証を基本に、データの暗号化などのセキュリティ機能を搭載。ビジネスに求められる性能を備えている。
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