2007年度の国内CO2排出量は、1990年度よりも8.7%も増加しており、京都議定書で目標として設定されたマイナス6%の目標達成はかなり困難な状況にある。そうした中、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(以下、省エネ法)が改正され、2010年4月から施行されることになった。改正省エネ法では、企業全体のエネルギー使用量を把握し、その削減に努めることが求められている。これにより、企業の省エネ対策は否が応でも加速する。それは同時に、IT業界にとっては大きなビジネスチャンスとなる。その好機を見逃す手はない。そこで今回は、改正省エネ法に対応したオフィスの「エコ替え」を提案する際のポイントや具体的な商材を紹介する。 |
2010年4月から施行される省エネ法改正の最大のポイントは、従来の工場・事業場ごとから、企業全体のエネルギー管理へ変更されたことだ。そのため、企業はエネルギー使用量を計測し、1,500kl (原油換算)以上だった場合は国へ届け出を行い、「特定事業者」の指定を受けなければならない。その申請を怠ったり、虚偽の申請を行ったりした場合には50万円以下の罰金が科せられることになる。
国から「特定事業者」の認定を受けた企業は、エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者を選任し、企業全体としてのエネルギー管理体制を推進しなければならない。
さらに「特定事業者」に対しては、定期報告書や中長期計画書の提出も義務付けられる。例えば、定期報告書の提出にあたっては、エネルギー使用量とその推移、エネルギーを消費する設備の状況、判断基準の遵守状況などを報告しなければならない。また、中長期計画書では、国が定めた判断基準に基づき、エネルギー使用合理化のための中長期的(3〜5年)な計画を作成しなければならないのだ。これらに対応するには、その管理業務のための人員が必要となる。人件費を少しでも抑えたい中小企業にとって、エネルギー使用量の削減は単なる目標ではなく、すぐに取り組むべき緊急の課題と言える。
改正省エネ法に基づき、企業が省エネ対策を実施するためには、さまざまな面からの総合的なアプローチが必要だ。特に注目されているのが、エネルギー使用量を「見える化」して効率的な管理を実現するエネルギーマネジメント(EM)ソリューションだ。
EMソリューションのなかには、エネルギー管理を司る中央監視システムのインテグレーションおよび設備維持管理・運用代行サービス、遠隔監視システムのソフトウェア販売およびASPサービス、エネルギー診断コンサルティングなどが含まれている。
ミック経済研究所の『IT活用によるエネルギーマネジメントシステムソリューション市場の現状と展望2009年度版』によると、その全体の市場規模は、2008年度は2,570億円で5年後の2013年度には3,960億円にまで拡大すると予測されている。
当然のことながら、企業の省エネ対策を支援する商材は他にもたくさんあるので、今回の改正省エネ法の施行が、大きなビジネスチャンスをもたらすことは間違いない。
改正省エネ法が企業に求めている最大のポイントは、本社や工場、支店、営業所などを含めた企業全体の年間エネルギー使用量をきちんと把握することだ。改正省エネ法は2010年4月から施行されるので、2009年度(2009年4月〜2010年3月)分から、企業が1年間に消費したすべてのエネルギー使用量を把握しておかなければならない。そのうえで、企業内のエネルギー使用量を削減するために最大限の努力を続けることが求められている。
改正省エネ法で指摘されているエネルギー使用量とは、企業が使用している燃料、熱、ガス、電気のすべての使用量のことを指す。例えば、電気の場合は、毎月電力会社から送られてくる請求書に記載されている電気使用量を原油換算で集計しなければならない。
しかし、こうした企業内のエネルギー使用量を手作業で集計するのは決して容易なことではない。しかも、改正省エネ法では、すべての拠点が対象になるので、複数の拠点がある企業では、その作業は大きな負担となる。そこでおすすめしたいのが、OSKが無償で提供しているASPサービス『エナジー・カルク』である。
『エナジー・カルク』は、各事業場が毎月エネルギー使用量の数値をインターネット上で入力することにより、企業全体のエネルギー使用量を一元管理できるASP型の使用エネルギー集計サービスである。このサービスを利用することにより、特定事業者の対象となるかどうかの判定や、定期報告書の書式である
「事業者のエネルギー使用量のEXCEL表」の出力、月平均からの特定事業者予測などの情報提供を受けられる。
その利用方法も簡単だ。まず、OSKのサイトから『エナジー・カルク』の利用登録を行う。そのうえで、電気やガス事業者などのエネルギー供給事業者から送られてくる請求書などを2009年4月分から保管しておく。後は、『エナジー・カルク』にログオンして、各事業場でそれぞれ毎月のエネルギー使用量の数値を入力するだけでいい。専門的な知識がなくても、誰でも気軽に利用できるので、パートナー様がエンドユーザ様に対して本格的な省エネ対策支援を実施する際のきっかけづくりにも役立つ。
続きは本紙でご覧下さい。 |
■2025年にはITの電力消費量は現在の5.2倍に
■省エネ法改正で企業全体のエネルギー使用量が、1,500klを超えると特定事業者に指定
■エナジー・カルク概要図
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