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 最近、何人かの経営者や自治体のトップの方々とお話していると、企業の情報システムに大きな変化が起きていることに気付く。それは、システム全体を大手SIerへ丸投げしてしまっているところが多いということだ。 どういうことかと言うと、一時期注目されていたCIO（最高情報担当役員）や同補佐官の存在が、ほとんど形骸化、またはなくなってしまっており、企業がその戦略に応じて独自に策定すべきITのポリシーでさえ自社内から消えかけてきているということである。 これまで企業におけるIT投資額は、景気がよくなると増加し、不況になると減少していた。しかし、今回の景気減速時には、意外にIT投資の本格的削減が進展していない。これは、大手SIerからの費用要求を削減しきれていないことが理由のように思われる。 ユーザ企業はITを本業としていないため、入札を行って一番安いところに依頼すればとにかく安くシステム導入ができるとの発想があった。ところが中・長期的なITに関するポリシーや戦略がないので、大手SIerの言いなりでコスト負担を継続している部分もあるのだろう。大手SIerも心得たもので、とりあえず、入札案件を廉価で落札し、後の改修や保守などで利益を確保するという以前のスタイルに戻ってしまったのである。 このような形になると、再びIT業界のゼネコン構造が活発化し、中堅・中小SIerは二次受けや三次受けが当たり前となってしまうためオリジナルのシステム開発ができなくなってしまう。 CIOの役割とは CIOの役割として、まず挙げられるのは、I Tコストの内容を吟味し、無駄な費用を削減することである。 次に、企業のIT化を情報戦略と位置づけ、新たな技術や仕組みにチャレンジし、その企業や自治体のアドバンテージとなるように育て上げることだ。 最後に、個人情報保護法への対応や情報漏えいを防ぐという、企業における個人情報管理の責任者としての役割もある。最近では、このようなセキュリティや内部統制など、かなり後向きのIT政策を優先させられることが多かったのではないだろうか。 企業がITによるシステム化を進めるときに、単にコスト削減やセキュリティの確保、システムの安定稼働などを目的にしてしまうと、結局、対応事例の多い大手SIerに頼むしか方法がなくなってしまう。 ユーザ企業はCIOを任命し、IT化の推進や中・長期的な戦略を社内でしっかりと策定する力を持つべきだ。また、システム導入・運用の際には、SIerへ丸投げするのではなく、一緒に社内システムを高めていける中堅・中小SIerと手を組み、積極的に新しい技術や仕組みを採用するのがよいだろう。 |
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