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2012年9月時点の情報を掲載しています。
インターネット全盛の今、リアル店舗への消費者の来店回数は減少傾向にある。この動きに歯止めをかけ、インターネットで集めた顧客を実店舗に誘導しようとするO2O。スマートデバイスの普及が進む中、集客の切り札として注目されている。
O2Oとは、Online to Offlineの略。オンラインで集めた顧客をオフラインに誘導すること、つまり、インターネットでのオンラインショッピングに流れつつある消費者を実店舗に呼び戻すための取り組みを意味する。
マーケティングの世界で従来から分析される法則に、消費者の購買行動を表すAIDMA(アイドマ)がある。これは消費者がある商品を知って購入に至るまでには、注意(認知)→関心→欲求→記憶→行動という段階があり、テレビや新聞の広告で商品の認知度を高めることで、リアル店舗で購入を促すという販売戦略だ。
ところが、インターネットの登場によってこのモデルに若干の変化が生じることになった。認知に始まって購買で完結するというプロセスは同じでも、認知のメディアとしてWebサイトやSNS、購買の場としてオンラインショップやeモールを消費者が選ぶようになったのである。Webサイトで商品を探し、実店舗で手触りなどを確かめ、価格比較サイトで最安値のオンラインショップを選んで注文するというのが、その典型的な行動パターンだ。
もちろん、こうした「中抜き」現象はリアルな店舗を持つ小売店にとって歓迎すべきことではない。そこで、B2C(対消費者)型のeコマースが脚光を浴び始めたころから、さまざまな共存策が考えられてきた。オンラインショップで注文した商品を小売店で受け取る「クリック&モルタル」や、付加サービスや割引を実店舗で受けられる「オンラインクーポン」などが、その好例である。
さらに進んで、現在では、その時・その場に合ったレコメンデーション(お勧め)を消費者のスマートフォンなどに送り込む方式がO2Oの本命として登場している。例えば、ショッピングモールの入り口に設置した機器で顧客の入場を自動的に検出し、その顧客の属性や購買履歴に基づいて推奨する商品やサービスを決め、短時間だけ有効な割引クーポンをメッセージとして送り込むような方式だ。プライバシー保護の観点から、来店を自動的に検出するのではなく、顧客が積極的にチェックインした時にレコメンデーション処理を始めるようにしている導入例も多い。
このO2Oを実現するには、小売店の側でも十分なIT投資をすることが求められる。まず、CRM(顧客関係管理)システムを構築し、顧客属性を登録しておく必要がある。このとき、また、顧客が使っている端末の種類が分かれば、そのスマートフォンの能力を最大限に引き出すサービスを提供できる。
その時・その場に合ったレコメンデーションを顧客に提供するには、リアルタイム型のDWH(データウェアハウス)やB(I ビジネス情報)システムも用意しておくとよい。さらに、スマートフォン用の独自アプリを開発すれば、顧客が今いる場所をGPSで自動的に検索して最寄り店舗に誘導するといったサービスも提供できる。専用アプリの開発には多少のコストがかかるが、スマートフォンの機能をフルに引き出すにはベストとなる選択肢だ。
O2O市場の拡大を見越して、これをサービスのメニューに加えるSaaS事業者も登場しはじめている。SaaSであれば、CRMやDWHのためのサーバなどを自ら導入する必要がなく、利用者が急増しても容易に対処できる利点がある。また、専任のIT担当者がいなくても運用が容易なので、システムメンテナンスに時間をとられることなく、サービスの充実に注力できる。リアル店舗の集客に悩むエンドユーザ様への切り札として、パートナー様が提案を検討する価値はあるのではないか。
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