Windows 10がリリースされた頃、Windows as a Service( WaaS)という言葉を頻繁に耳にしていた記憶がある。直訳すると「サービスとしてのWindows」となるが、当時、物販ビジネスに慣れ親しんだ日本の商習慣には、理解の難しい概念だった。リリースから数年が経過し、動作や機能が洗練されたWindows 10は、そのシェアを拡大している。そしてマイクロソフトは、自社の名前を冠する初めての製品「Microsoft 365」をリリース。次第にWaaSがパートナー様のビジネスにもたらす影響が見えてきた。そこで、Windows 7 EoS(End of Sales)商戦で、パートナー様が知っておくべき情報をまとめた。 |
Microsoft 365には、なぜWindows 10のライセンスがパッケージされているのか? Windows PCへOSのプリインストールが当たり前となっている今、それは少々不思議に思える。見落とされがちだが、OSとアプリケーションをバンドルしたMicrosoft 365は、実はITビジネスの潮流が大きく変わろうとする中、極めて大きな役割を担っている。
Windows 10とOffice 365、そしてセキュリティ機能を一体化したMicrosoft 365が、Windows 7 のリプレース商戦において大きな注目を集めている。その一方で、OSとアプリケーションをバンドルしたMicrosoft 365の販売について戸惑うパートナー様も少なくない。これまでマイクロソフトは、PCメーカー各社にWindows OSのプリインストール出荷を強く働きかけ続けてきた。PCとWindows OSのバンドルが当たり前となっている中、登場したMicrosoft 365に違和感を持つのは不思議ではない。
それと共に注目したいのが、マイクロソフトが展開してきた一連のWindows10移行キャンペーンである。中でも昨年のWindows 10無償アップグレードキャンペーンは大きな話題を呼んだが、実はキャンペーン終了後の現時点でも、無償アップグレードに近い状態が続いている。例えば、インターネットでダウンロードできるWindows 10評価版を一度インストールすれば90日間の試用期間の終了後も利用し続けることが可能だ。
これらの施策を通し、マイクロソフトは何を目指しているのか? 浮かび上がってくるのが、“OSのサービスモデル化”というキーワードだ。これまでは、ハードウェアにバンドルされたOSは、その性格上、売り切り型のビジネスモデルが前提になる。そのため、ハードの故障やサポート終了に応じて、OSも買い替えることが一般的だった。
それに対し、保守メンテナンスなど継続的なサービスを提供することで対価を得るビジネスモデルがサービスモデルということになる。月額制や年額制の利用料金を設定するサブスクリプションがその代表例である。
すでにマイクロソフトはOffice 365という名称でOfficeアプリケーションのサブスクリプション化を実現し、そのシェア拡大に注力している。これらのことを考えれば、Windows OSを自社のサービスモデルに組み込むことで、いっそうの顧客囲い込みやサービス品質の向上を図ろうとするのは、むしろ当然と言える。Microsoft 365を起点として、OSのサービスモデル化を今後も積極的に推進するはずだ。
サービスモデルの長所として、まず継続的な収益基盤の構築が挙げられることが多い。それと共に重要になるのが、保守サポートなどの関連サービスへの顧客囲い込みや他社へのスイッチングリスク軽減というメリットだ。考えてみれば、OSのサービスモデル化自体は決して目新しいものではない。オープンソースのフリーソフトとして登場したLinux系OSは、今日、保守サービスを含むパッケージとして提供されることが一般的だが、これもまた一つのサービスモデルにほかならない。
ITビジネスの潮流は、物販からサービスモデル、サブスクリプションモデルへと向かっている。こうした中、Microsoft 365が担う役割は、単なるサブスクリプション商材ラインアップ拡充ではないはずだ。Windows 7 EoSという一つの節目において、物販モデルからサービスモデルへの移行を実践する重要なツールとしての役割を担っていると捉えるべきだ。Microsoft 365がエンドユーザー様にとっても魅力が多い商材であることは、間違いない。次に、具体的な訴求ポイントを見ていこう。
続き、「巻頭特集 すでにWindowsの新しい運用は始まっている! Microsoft 365 Businessの真実」は 本誌を御覧ください
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