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巻頭特集 デスクトップ型? サーバー型? パートナー様が注目するRPAの現状報告
2018年11月時点の情報を掲載しています。

オフィスの業務を代行するRPA(Robotics Process Automation)は、「働き方改革」を推進する一つの方法として注目されている。ところが、管理者としては、オフィスで働く従業員が自由にRPAを導入することは好ましくない。なぜなら、個人によるRPAの導入は、業務の属人化をまねき、かえって業務の効率を下げてしまう可能性があるからだ。パートナー様がRPAの導入を提案する際には、エンドユーザー様の業務を理解し、効率化を図るためのシステム開発と同等のプロジェクトとして心づもりが必要と言えそうだ。


RPAはオフィスの業務をどこまで効率化できるのか?
業務手順を記録することで、ロボットが手順どおりに業務を代行するRPA。ホワイトカラーの生産性向上に直結し、“働き方改革”とも親和性が高いRPAに注目するパートナー様も多いはずだ。その商機を考える前に、RPAというテクノロジーの現状を整理しておきたい。

2021年には100億円市場に大きな注目が集まるRPA
 RPAが普及フェーズに入ろうとしている。まずは普及状況から見ていこう。大手調査会社によると、2017年段階で14.1%の企業がR P Aを導入済み、6.3%が導入中、19.1%が導入を検討中だったという。RPAに注目が集まることは、このデータからもうかがえるはずだ。また、これとは別の調査では、2016年に8億円だったR P A市場は、2021年に100億円に達すると予測している。
 その背後には、大きく二つの理由がある。一つは、「働き方改革」に代表される、業務の効率化・ホワイトカラーの生産性向上に対する意識の高まりだ。PC上の作業をロボットが代行するRPAは、その解決策として有望であることは間違いない。もう一つが、多様なR P A製品の登場だ。現在RPA市場では、国際的なシェアを握る複数の海外製品や国内ベンダー製品が競合し、数カ月のトライアルが無償で行えるなどエンドユーザー様にとっては導入の取り組みが進めやすい状況になっている。
 とはいえ現時点でR P A導入に積極的に取り組むのは、先行して導入が進んだ金融・保険分野を除くと、大企業や一部のイノベーティブな企業が大部分を占める。今後、中堅・中小規模のエンドユーザー様を含め、どうRPAを提案していくか考える前にまずはその概要について簡単に整理しておこう。
 RPAとはその名のとおり、多様なPC操作をロボット(ソフトウェア)に代行させる取り組みを総称する言葉で、学習・判断能力に応じた三つの段階に分類されることが一般的だ。まずは定型業務を自動化するClass 1。次がAIとの連携により一部の非定型業務の自動化を実現するClass 2。さらにより高度なAIによるプロセスの分析・改善、意思決定まで実現するClass 3というのが、その基本的な考え方になる。現在普及が進むR P Aの大部分はClass 1に相当するが、気象情報や過去実績に基づいた発注業務の代行などClass 2のRPAも一部では実用段階にある。
 Class 1のRPAは、Excelマクロと比較されることも多い。両者の最大の違いは、Excelマクロによって実現する自動化がExcel上の操作に限られるのに対し、RPAは多様なWindowsアプリケーション、Webアプリケーションの操作の自動化を実現する点にある。
 アプリケーションをまたいだ操作の自動化を可能にするのが、操作手順を記憶するレコーディングと呼ばれる機能だ。その基本的な考え方はExcelマクロの「マクロの記録」と同じだ。VBA(Visual Basic Applications)というプログラミング言語で操作手順を記録するExcelマクロの場合、複雑な操作にはプログラミングに関する知識が求められるのに対し、RPAはプログラミング知識を問わず手順を記録する仕組みが備わることが大きな特長になっている。
 ではRPAはどのように業務手順を記録するのだろう。多くは、以下の方法の組み合わせで記録されている。

1.構文解析 HTMLなどの構文を解析し、どのような項目をクリックやコピーしているかを記録する。WebサイトやWebアプリケーションがその対象になる。

2 .オブジェクトの解析 Visual Basicなどのプログラムの構造を解析し、どのような項目をクリックやコピーしているかを記録する。

3.画像認識 ボタンやウィンドウの位置などを画像として認識し、操作内容を記録する。記録可能なアプリケーションは幅広いがUI変更の際はあらためて記録し直す必要がある。

4.座標軸の認識 作業の対象となる項目を画面の座標で記録する。記録可能なアプリケーションは幅広いが、画面サイズが異なる端末には使用できない。

 もちろん、構文やオブジェクトの解析や画像や座標軸の認識だけですべての操作をロボットに代行させることは難しい。そのためRPAは、エラー発生時のハンドリングや繰り返しの定義など、レコーディングによる方法では設定が難しい操作手順についても、あらかじめ用意された各種コマンドをフローチャート上に並べることで、プログラミングの知識がなくても記録できる仕組みが備わることが一般的だ。
 次に押さえておきたいのが、RPA製品の傾向だ。各社のRPA製品は、運用形式から大きく「デスクトップ型」と「サーバー型」という二つのタイプに分類できる。PC上でロボットが働くデスクトップ型の第一の特長は、導入の容易さにある。1台のPCで完結するためRPA環境構築が簡単であると共に、初期投資も比較的少額で済む。その一方、1台1台にロボットを搭載するため、複数のロボット管理は困難で、大規模な運用には適さない。
 それに対し、サーバー型の最大の特長は、管理の容易さにある。サーバー型は100体以上のロボットを同時に運用することが可能で、その管理はダッシュボードで一元的に行うことができる。そのため、全社規模の導入にもスムーズに対応できる。一方で導入には、サーバー、ネットワーク構築が不可欠で、導入コストも比較的大きくなる。
 中堅・中小規模のエンドユーザー様が部門レベルでRPAを導入する場合、デスクトップ型が主要な選択肢になることは間違いない。だが全社規模の展開まで視野に入れた提案の場合、サーバー型まで含めた製品検討を行う必要があるだろう。またマニュアルなどの日本語対応を重視するエンドユーザー様も少なくないが、近年は海外製品の日本語対応も進んでいる。

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■RPAの3段階図
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■RPAのレコーディング方法の例表
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■サーバー型RPAとデスクトップ型RPA表
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