Windows 7がやってきた とうとうWindows 7のボリュームライセンスが9月にリリ ースされました。筆者がWindows NTを仕事に使い始め たのはWindows NT 3.1からですが、その後のWindows のバージョンアップを振り返ってみると右図のようになります。 筆者の経験からいえば、表の左側、すなわちメジャーバージョンアップした直後のWindowsを使い始めた時は、何かとトラブルに見舞われています。メジャーバージョンアップのために、Windowsに追加された新しいポリシーや機能を使いこなす時間が必要です。おまけに周辺機器のドライバが新しいWindowsに対応したことを調査し、安定稼働することを確かめる必要があります。 Windows 7は、Vistaのマイナーバージョンアップという位置づけですから、Vistaの導入を避けてXPを使い続けてきた企業にとっては、今回のWindows 7はメジャーバージョンアップに相当します。その動作確認作業の工数を考えると、ほとんどのシステム管理者は、わざわざバージョンアップしたいとは思っていないのが本音ではないでしょうか。気になるXPのセキュリティ更新プログラムは2014年4月8日まで提供されますから、それまでの間は、バージョンアップしなかったからといって、セキュリティリスクが急増するわけでもありません。 しかし、ほとんどのシステム管理者は、今回のWindows 7は避けて通ることはできないと考えています。なぜなら、既にVistaが普及し、これから発売されてくる周辺機器やアプリケーションソフトはVistaとWindows 7をメインのオペレーティングシステムとして対応してくるからです。そろそろXPを卒業しておかなければ、今後はXPを使っていることが原因となるトラブルが増えてくるでしょう。システム管理者たちにとっては、なんとも頭の痛い季節がやってきた、というわけです。 やっかいなアプリケーション動作検証 Windows 7を企業内に導入していく上で最も厄介なのは、自社用に開発したアプリケーションの動作検証でしょう。まず、動作確認だけでも相当な工数が必要です。そこで障害が確認されれば、その修正作業が発生します。障害の発生源が、使用しているミドルウェアに起因しているようであれば、ミドルウェアのWindows 7対応状況を確認しなければなりません。最悪は対応してくれない場合もあるでしょう。その場合は、アプリケーションの全体的な作り直しになる可能性も出てきます。 動作検証にどれぐらいの工数がかかるかは、アプリケーションの規模によって、ある程度は見積もることができます。しかし、アプリケーションの修正コストは動作検証してみなければ分かりません。また、経験上の話ですが、たまたま動作に問題が無いことが検証できたとしても、実際にユーザに使ってもらうと、思いもよらないトラブルに見舞われるものです。そうしたトラブルに対する対応コストも予定しておく必要がありますが、これも正確に見積もることは難しいものです。 多くのユーザは、こうした「見積もれないコスト」に悩んでいるでしょう。ベンダー側は、その経験を生かして少しでも見積もり精度を上げてほしいと思います。そして、そのためのノウハウを提供することが求められています。
【目から鱗のI T 夜話】 ・第10夜 インフルエンザ騒ぎから考えるバランスのとれたセキュリティ対策 【Vol.45】 ・第9夜 システム管理者を育てる秘訣 【Vol.44】 ・第8夜 ペーパーレスよ、もう一度 【Vol.43】 ・第7夜 20年に一度の危機と向き合う心構え 【Vol.42】