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2016年7月時点の情報を掲載しています。
PCやスマートフォンなどのスペックを語る際、真っ先に出てくるのが「デュアルコア」や「クアッドコア」といった言葉だ。今後は、「ヘキサコア」や「オクタコア」といった言葉もよく耳にすることになりそうだ。ここで一度、こうした用語を整理しつつ、今後のPCの進化を占っていきたい。
現在のPCやタブレット、スマートフォンのCPUは、一つのCPUパッケージの中に、複数のコア(CPUの中心部であり、実際に演算を行うユニット)が入った、「マルチコア」CPUになっている。デュアルコアやクアッドコアといった用語は、CPUの中のコアの数を表しており、デュアルコアなら2つ、クアッドコアなら4つとなる。トリプルコアCPUも存在するが、基本的にはコアの数は偶数であり、クアッドコアの上はヘキサコア(6コア)、オクタコア(8コア)となる。CPUの理論的な処理能力は、コア数×動作周波数に比例するため(CPUのアーキテクチャが同じ場合)、処理能力を高めるには、コア数を増やすか、動作周波数(クロック)を上げればよいことになるが、動作周波数を高くするとほぼその3乗に比例して消費電力が向上するため、周波数を高めるアプローチには限界がある。そこで最近は、動作周波数をあまり上げずに、コアの数を増やして性能を高めることがトレンドとなっている。動作周波数を2倍にするより、動作周波数をそのままにして、コアの数を2倍にしたほうが消費電力的には有利だからだ。ただし、コアの数を増やすには、集積するトランジスタ数を増やす必要がある。プロセスルールがシュリンクされれば、同じ面積のダイにより多くのトランジスタを集積できるようになるので、コア数を増やしやすくなる。
現在、クライアントPCでは、デュアルコアまたはクアッドコアが主流であり、一部のハイエンドPCやワークステーションではヘキサコアやオクタコアが採用されている。ただし、これらのヘキサコアやオクタコアは、メインストリーム向けのデュアルコアやクアッドコアとはピンの数が異なり、プラットフォームとしての互換性がない。そのため、システムも高価になり、ごく一部にしか使われていない。なお、スマートフォンでは、以前からオクタコアCPU搭載と謳っている製品があるが、最初に登場したスマートフォン向けオクタコアは、同時に8コアを利用するものではなく、性能重視の4コアと消費電力重視の4コアの2種類のコアを切り替えて使うものであり、実質的にはクアッドコアである。現在は、スマートフォン向けとして、同時に8コアを利用できる真のオクタコアCPUも登場している。
インテルの最新CPUである第6世代Core iプロセッサーは、開発コードネーム「Skylake」と呼ばれる製品で、14nmプロセスルールで製造されている。2016年末に登場予定の次世代CPU「Kabylake」( 開発コードネーム)も、現行の14nmプロセスルールで製造されるが、2017年末に登場予定の次々世代CPU「Cannonlake」(開発コードネーム)では、プロセスルールが10nmになるため、メインストリーム向けCPUとして初めてヘキサコアやオクタコアの製品が提供される可能性が高い。同時に統合GPUの性能も向上していくため、深層学習(ディープラーニング)や高度な画像認識といった、現状のクライアント向けCPUでは処理能力的に実装が難しい高度なアルゴリズムがより身近になり、さらなるアプリケーションやエコシステムの進化が期待できる。
text by 石井英男
1970年生まれ。ハードウェアや携帯電話など のモバイル系の記事を得意とし、IT系雑誌や Webのコラムなどで活躍するフリーライター。
インテルの「Core i7-5960X」。ハイエンドPC/ワークステーション向けのオクタコアCPUであり、名前は「Core i7」だが、通常のメインストリーム向け「Corei7/i5/i3」とはプラットフォームが異なる
【進化するIT基礎技術の可能性】
・第24回 最大7Gbpsの超高速通信を実現する次世代無線通信規格「WiGig」【Vol.85】
・第23回 インテルの「Quark」が狙うIoTやウェアラブルデバイス【Vol.84】
・第22回 現実を拡張する「HoloLens」の可能性【Vol.82】
・第21回 普及が期待される日本発の近接無線通信技術「TransferJet」【Vol.81】
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