大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2007年5月時点の情報を掲載しています。
経済環境も企業自体も右肩上りで成長しているときには、考える前に行動するような空気が企業に満ちるようになります。それでは厳しい経済環境下が長期的に続き、企業の業績にも陰りが見えている場合、企業の空気はどのように変わるでしょうか?
まず、隣の芝生の青さを気にしはじめるときがやってきます。あそこの会社は経営が順調なのに、うちはどうなっているのだといった疑問が出てくるのです。おそらく消費市場に明るさが見られない地方では、隣りの芝生が気になって仕方がない経営者が数多くいらっしゃるかと思います。
競合他社が活況を呈していたら、まず、その芝生をじっくり凝視することは無駄なことではありません。ただし、あるフィルターを通してみるという意識を忘れてはなりません。そのフィルターとは「経営革新の視点」です。大半の経営者は、言われなくても既にやっていると答えられるかも知れませんが、筆者が知る某店経営者は本気になってそれに取り組みました。
「いままでのやり方で成長が見込めなくなったのだから、新事業展開や新販路開拓までも見据えた視察を繰り返しましたよ」と話されていました。通常、こうした状況の経営者が指示する施策には、経費削減や人員削減などが入るものなのに、その経営者の言葉は積極的でした。
「商売では守りよりも攻めのほうが重要なんです。守りを考えるのは社会環境や経済指標などを見た判断です。確かにそれで生き長らえることはできますが、長期的にそれを続けると、どうなるか分かりますか?」
筆者が黙していると「働いている人たちまでが動かなくなるんです」と話されました。守りの姿勢は企業の存続にはなっても、社内の空気を重くしついには動くことを嫌う組織になるそうです。
「アルバイト、パートの店員まで集めて、売るためのアイデアを募集したり、新規に取り扱う商品を決めるためのミーティングを何度もやりました。人は”新しい”という言葉に動かされるんです」
「新しいことをやろうとすると資金面での問題を避けて通れませんよね」と筆者が問うと、その経営者は「好況でも不況でも資金面で苦労するのは小規模企業経営の定めのようなものじゃないですか」とばっさり。「新規の事業をはじめようとしたら、リスクを怖がってはいられません。ただし、新規の事業と言っても、自社にノウハウがないような事業に取り組んではいけません。本業で蓄積したノウハウを活用できる新規事業が成功に結びつきやすいんです。このあたりを誤解すれば、酷い目に合うでしょうね」と話されました。
この経営者の調査では、全体の4割程度の経営者は、いつでも新規事業に取り組もうとする意識を持っているとのことです。同じ小売店でも、自社の売り方ノウハウを分析できているお店と新製品に依存するだけのお店では、全くことなる経営がされているそうです。自社のノウハウの分析ができていれば、話題の新製品だからといって大量に在庫するといったことはしないそうです。
「話題の新製品というものは、どこでも取り扱う商品と同じ意味ですよ。もちろん、大規模店でも取り扱います。小規模店が取り扱うべきは、大規模店だから、あえて扱わないような商品です。あるアルバイト社員が話した、自分たちは欲しいものの大半を持っているという言葉が、いまスタートさせた新規事業のヒントになりましたね」。
大企業と競合せずに最終消費者を活用するサービス業を経営する某社は、現在、5年連続増収・増益中です。「成功すると模倣する人が出てきます。だから、さらなる攻めに向かうためのミーティングを、定期的にやっていますよ」と話し、自店の改善点を発見するために、せかせかと歩いて行かれました。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
【コラム】「売れるショップに売れる人」
・第12回 組織力を強化する2つの能力を育むもの 【Vol.31】
・第11回 「内部統制」の本質を古典から考えた 【Vol.30】
・第10回 接客応対に"絶対"はないと知ろう 【Vol.29】
・第9回 Web 2.0ビジネスで仲間と盛り上がる 【Vol.28】
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