サイオステクノロジー株式会社のHAクラスタソフトウェア『LifeKeeper』は、今やWindows環境でも定番商品となりつつある。2007年9月にリリースされた最新版『LifeKeeper Protection Suitefor Windows v6』は、64ビット版のWindowsを新たにサポートし、ユーザビリティやデータ・レプリケーション機能を大幅に強化した。
HAクラスタソフトウェア『LifeKeeper』は、エンタープライズレベルの高信頼性とサービスの継続を手間なく簡単に実現するソリューションとして、信用が高まっている。L i n u x 版が市場に浸透したことにより、Windows版の問い合わせや引き合いも増え、最近は『LifeKeeper』を指名買いするSIベンダーやユーザーも多いという。それだけ『LifeKeeper』の優位性がビジネス市場に定着した証左といえるだろう。
『LifeKeeper Protection Suite for Windows v6』は、ウィザード形式の設定インターフェースにより、構築作業の簡素化を実現する。さらにオプションのアプリケーション・リカバリキット(ARK)を活用することにより、主要なアプリケーションをスクリプトレスで簡単にHAクラスタ化することができる。またGUIによる直観的な操作性と視認性によって人的ミスも大幅に軽減する。
2007年9月にリリースされた最新版『LifeKeeper Protection Suite for Windows v6』では、64ビット版のWindowsサーバを新たにサポート。さらにGUIの改良によりユーザビリティが大幅にアップしている。例えば、GUIの改良では、リソース・セッティングタブから、DNSリソースのユーザーのアカウントとパスワードを管理するためのGUIサポートを追加した。また、LifeKeeperとARKのライセンスキーをインストールするユーティリティを新たに開発し、Webサイトから取得したライセンスキーをカット&ペーストして入力したり、ファイルを指定して読み込むことが可能になった。これにより、ライセンスキーを手入力する手間が省けるようになっている。
2006年5月リリースの『LifeKeeper for Windows v5.2』では、データ・レプリケーションのパフォーマンスが大幅に向上した。LAN環境が10Mbpsの帯域幅のスループットではv5.0の約1.5倍、100Mbpsの帯域幅ではv5.0の約2.5倍の高速化を実現している。また、非同期のミラーリングにも対応しているので、ネットワークの帯域をあまり気にせずにデータ・レプリケーション構成を取ることができる。このため、一般的なWAN環境でもディザスタリカバリ対策を行うことができるのだ。例えば、東京で使用していたサーバがダウンした場合でも、クライアント側は何も意識せずに大阪のサーバにあるアプリケーションをそのまま使い続けることができる。
さらに『Life Keeper Protection Suite for Windows v6』では、新たにCDP(Continuous Data Protection)であるリワインド機能が実装され、レプリケート(複製)されたデータを、指定した過去の任意の時点に戻すことが可能になった。データが変更される度にビットマップファイルに変更履歴を記録しているので、あらゆる時点のデータをリカバリすることができる(図1)。例えば、オペレータがデータを誤って消去してしまった場合、通常は完全にミラーリングすると元に戻すことはできないが、CDP機能を使えば簡単に元の正常の状態に戻すことができるのだ。
またデータ・レプリケーション機能だけを活用することもできるので、HAクラスタ化せずにデータのバックアップツールとして活用することもできる。例えば、サーバを3台導入し、そのうち2台をHAクラスタで冗長化し、3台目はバックアップ用途でミラーリングだけ行うといった柔軟なシステム構成が可能になる。
『LifeKeeper』の魅力のひとつは、HAクラスタの構築を容易にするARKがオプションで用意されていることである。RDBMS( Relational Data Base Management System)をはじめとする主要なミドルウェアにすべて対応しており、『VMWare ESX Server』による仮想サーバのクラスタ構成にも対応している。例えば、複数のサーバを冗長化するために、それぞれにアクティブとスタンバイのサーバを用意するのは手間も費用もかかる。しかし、仮想サーバをひとつ用意してそれを冗長化すれば、物理サーバをいくつも用意する必要がなくなるので運用管理の手間がかからなくなる。
さらに今回リリースしたWindows版では、新たに『DB2 Recovery kit』を追加し、DB2の最新版『IBM DB2 9 Workgroup Server Edition/Enterprise Server Edition』をサポートした。また、『VMware VirtualCenter Recovery kit』を追加し、Windows環境でVMwareを管理するユーティリティ『VMware VirtualCenter Management Server 2.0.1』をサポートしている。
従来のARKもそれぞれ機能強化している。例えば、『Oracle Recovery kit』では、64ビット版Windows 2003およびOracle 10g R2を新たにサポートする。Oracleリソースで保護されているオプションのリソースを修正するGUIサポートや、Oracleリソースで使用されているアドミニストレータのパスワードを変更するGUIサポートを追加するなど、より構築しやすい環境を提供している。また、『Exchange Server Recovery kit』では、ルーティンググループとコネクタのアップグレードを自動化するなどの工夫を施している。この他、さまざまなARKに改良を加えている。
このように大幅な機能強化した『Life Keeper Protection Suite for Windows v6』は、基幹業務システムのHAクラスタ化やディザスタリカバリ対策などで大きなメリットをもたらす。新規ユーザーはもちろん、『LifeKeeper』の年間サポート契約を結んでいるユーザーであれば、サポート期間中に無償でアップグレードできるので、ぜひ活用したい。
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『LifeKeeper Protection Suite for Windows v6』の機能強化点
■ 図1 CDP機能(リワインド機能)
●アプリケーション・リカバリキット(ARK)の利点 異なるサービスを組み合わせてHAシステムを構成する場合でも、制御スクリプトを修正しなくてもGUIで構成を可能にする。そのためサービスを停止することなく組み込めるのがメリットである。
『LifeKeeper Protection Suite for
Windows v6』の対応ARK 『Microsoft SQL Server Recovery kit』
『Microsoft Exchange Server Recovery kit』
『Oracle Recovery kit』『SAP Recovery kit』
『IBM Director Recovery kit』
『DB2 Recovery kit』
『VMware VirtualCenter Recovery kit』
※赤字:v6より追加