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イベント
2007年9月時点の情報を掲載しています。
「おばあちゃんの原宿」とも呼ばれる東京・巣鴨の地蔵通り商店街で、今年7月、ちょっと不思議な光景が見られた。なんとパソコンに真剣な眼差しで取り組むおばあちゃん、おじいちゃんの姿が目についたのだ。
7月26日から29日の4日間、ボランティア団体である「コンピューターおばあちゃんの会」(大川加世子代表)が、地蔵通り商店街内のアルプスカフェで開いた和風インターネットカフェ「すがもパソコン茶屋」がその会場である。
パソコンによる写真の加工や童謡・民謡の編曲、あるいは俳句・川柳の作成や、健康サイトを利用した健康チェック、インターネットショッピングなどを無料で体験できるもので、指導員の手助けを受けながら、楽しそうにパソコンを操作している様子があちこちで見られた。
このイベントは、インテルジャパンがサポート。同社の吉田和正共同社長も会場に駆けつけ、その様子を興味深く見ていたが、それもそのはず、同社は会場内に、あるパソコンを持ち込んでいたからだ。
それは、ベンチャー系PCメーカーであるPBJが開発したSlate DTと呼ばれるパソコンであった。Slate DTは、CPUにCore Duo LV L2500(1.83GHz)を搭載、1GBのメモリ、80GBHDDを搭載。タッチパネル操作が可能な12.1型TFT液晶を搭載したタブレットPCだ。FeliCaポートも搭載しているほか、一部のオンラインサイトに簡単な操作でアクセスできる仕様としている。
インテルジャパンは、マイクロソフトおよび電子マネー「Edy」を展開するビットワレットと共同で、2006年6月から“スマートデジタルライフ推進プロジェクト”(sdlプロジェクト)に取り組んできた。FeliCaを利用したサービス、ソフト、ハードの普及促進を目指すもので、そのなかで、ITに不慣れな主婦やシニア層が簡単に利用できる製品、サービスの創出を目指してきたのである。
同プロジェクトで実施した埼玉県川口市での実証実験や、2006年に行った調査結果を通じ、シニア向けPCの基本仕様となる「シニア向けPCとインターネットサービスのガイドライン」を7月に発表。一連の活動のなかで浮き彫りとなった「指一本で簡単に操作ができるタッチパネル方式の採用」などといった要素が、Slate DTには反映されている。
インテルジャパンは、巣鴨でのイベントにおいて、シニア向けPCの可能性を検証する狙いもあったのだ。その結果は予想以上のものだったといえる。
ハードおよびソフトの改良によって、インターネットの操作に必要なアイコン類を見やすい場所に配置。また、アイコンのサイズを大きくするなど、視認性に留意した仕様が好評を博し、マウスやキーボード操作に不慣れなシニア層からも「これならば使えそうだ」との声があがったという。
さらに、困ったときの対応策として、「シニア向けPCサポートサービス」を試験的に導入。パソコンのテレビ電話機能を利用して、直接相談員に問い合わせができるようにした。これについても、「わからないところをすぐに相談できるのは心強い」、「テレビ電話でのサポートは相談員の顔が見えるから安心して相談できる」などの声があがっていたという。
この実証の結果、同ガイドラインに、「サポートサービス」を追加した改訂版を新たに策定。これに準拠したパソコンが9月以降、市場投入されることになるという。
国内の60歳以上の人口は2010年には3,800万人に達すると見られている。これらの層へのパソコン普及は、業界にとっても大きな課題。そして、残された最後の大型市場といえる領域だ。インテルジャパンは、その市場に、業界を巻き込む形で先駆けて飛び込んでいった。
大河原 克行
1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、'01年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、PCfan(毎日コミュニケーションズ)、月刊アスキー(アスキー)などで連載および定期記事を執筆中。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社刊)、「松下電器変革への挑戦」(宝島社刊)など。
【コラム】「ビジネストレンド最前線」
・第14回 無料オフィスソフトはどんな影響をもたらすのか 【Vol.33】
・第13回 ユーザー動向調査に見る企業のIT意欲と課題 【Vol.32】
・第12回 現場指向が強まるビジネスインテリジェンスの現状 【Vol.31】
・第11回 国内PCメーカー8社がマイクロソフトに要望したこと 【Vol.30】
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