大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2007年9月時点の情報を掲載しています。
前回も述べたWeb2.0は、ティム・オライリー氏(Tim O'Reilly)の「What is Web2.0」(http://www.oreillynet.com/pub/a/oreilly/tim/news/2005/09/30/what-is-web-20.html)で詳解しています。同氏は既存の概念をWeb1.0と考え、今後のWeb2.0には「ロングテール」「集合知」「永遠のβ版」「参加型」など重要なキーワードを挙げています。
経済学者パレートが提唱した20:80の法則は、顧客全体の上位20%の顧客が総販売額の80%を占めるという説です。Web2.0ビジネスでは、この20:80の法則にあてはらまないケースが出ています。Amazonの場合、売上の1/3は大型書店でも置かれていない書籍です。同社は消費動向の情報を蓄積し、関連製品を顧客に推奨したり、購入者の感想を吸い上げることに積極的です。購入者の貴重な情報を発信して共感者を呼び込むことで、リアルな書店ならば返本されそうな書籍がロングテールに売れ続けているのです。
「集合知」はWikipediaやオープン・ソースの事例で説明されます。集団の知恵を活用すれば、個人ではできないことが可能になります。専門家の集合知では、高品質なWebサイトに昇華します。匿名性の高いWebサイトは、必ずしもそうなるという保証はありませんが、Wikipediaの場合、利用者の自由投稿に依存しつつも質的向上が見られます。著名な百科事典より情報量が多いと考える人もいます。
情報システムの構築や業務用アプリの開発はα版、β版、完成版などの段階を経て進行します。Web上で稼動するサービスは業務用アプリパッケージと異なります。提供サービスのフィードバックから、頻繁に改善することで利用者をつなぎとめます。永遠のβ版がWeb2.0では成立しているのです。Web2.0ではデータの収集・蓄積・解析に関するパワーが重要になります。
Googleの成功もWeb2.0と無関係ではありません。Googleはネットサービスを提供するビジネスモデルで成功した会社です。同社が支持される理由は、利用者が求めるネットサービスを常に提供し続けているからです。Googleでは蓄積データや解析データまでも利用者に提供し、しかも大半が無償サービスです。Googleのサービスを活用したWebサービス数は膨大です。しかしデータの収集方法にブログ、SNSやオープン・ソースを活用し、参加者が参加者を呼ぶ手法は、Googleだけのものではありません。大半のポータルサイトが採用をはじめています。利用者はデータの消費者であると同時にデータの提供者にもなっています。コンテンツ提供者と消費者が混交する時代に入ったのです。個人がさまざまな情報を提供しTB(トラックバック)を活用し、著名メディアに依存しないコンテンツが次々と生まれています。
蒸気機関は鉄道ビジネスを生みました。電気は電力と家電ビジネスを生みました。電話は携帯ビジネスを生みました。Web2.0からは何が生まれるのでしょうか? 前述したWeb2.0のビジネス・コンセプトは、インターネットが社会的インフラとなった後の、情報リテラシーの変化を予感させます。筆者は「IT2.0」と呼べそうな前兆がWeb2.0ではないかと指摘します。Web2.0は確実に何かを生むのです。WebとWebが相互補完する時代、あなたの会社が「IT2.0」業者として、時代の主役になれるかもしれないのです。Google、Amazon、Yahooも同じスタートラインに立っています。彼らが「IT2.0」の主役になれるという保証はどこにもありませんが、Web2.0という概念は、企業Webサイトのネット提携を予想させます。筆者はこれまで各企業が構築していたWebサイトを連携させるマッシュアップ事業が今後盛んになるだろうと考えていて、Web2.0から「IT2.0」への変化に注目しています。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
【コラム】「売れるショップに売れる人」
・第14回 みんなが参加できるシステムが成功へ導く 【Vol.33】
・第13回 攻めの姿勢の空気を充満させよう 【Vol.32】
・第12回 組織力を強化する2つの能力を育むもの 【Vol.31】
・第11回 「内部統制」の本質を古典から考えた 【Vol.30】
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