大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2007年11月時点の情報を掲載しています。
この数回、Web2.0に関する説明をしてきました。Web2.0に至った潮流を見ますと、情報の一方的な受信者として考えられてきた消費者が、情報の発信者に変化したことに気付きます。ブログやSNSはネットワーク用のツールであり、今やコンテンツの価値は消費者が発信する情報なのです。この視点を理解しなければ、Web2.0時代に適合した企業になれません。
Googleやヤフーなどの検索エンジンビジネスが驚異的な成功を収めた原因は、消費者が要望するツールを提供し続けていることにあるのです。反対に消費者を満足させるツールの提供が遅れている業界もあります。新聞社や放送局などは既存のビジネスモデルからの脱却のために苦労しているようです。インターネットに代表されるデジタル文化の劇的な普及は、新聞やテレビを遅れたコンテンツだと思わせはじめています。
筆者が講義をする専門学校に通う若者は、世間で起きている情報をインターネットから収集しています。若者たちの行動スタイルの変化は、常にその時代を象徴しますから、ヒット商品は消費者の発信情報から生まれる時代になっています。
先日、筆者は『Web2.0が普及する時代のコンテンツ戦略』をテーマに講義をしました。結論から言えば、Web2.0時代に適合するためには、既存のマーケティング手法を変革させる必要があります。マーケティングは製品・価格・場所・プロモーションという4Pを標的市場に適合させる活動と見られてきました。新聞・テレビ・ラジオ・雑誌などを通じて消費者に商品の存在をアピールするという手法は、プロモーションでは常識のように思われてきました。ところが、プロモーション活動ひとつをとっても、Web2.0時代は見直しが迫られています。
以下のことは、筆者が教える学生たちの感想に過ぎないでしょうか?「テレビを見るより、YouTubeやニコニコ動画を見るほうが楽しい」「ニュースならケータイで知ることができる」「2ちゃんねるは虚偽情報が数多くあるが、当事者しか知らない本質的な匿名情報もある」「ウィキペディアに記述されていることは信頼性も高いけれど、疑わしい記述も多い」。いかがですか?筆者は大半の人たちが同様な感覚を抱いていると考えています。
Web2.0時代は購買行動をも変えてしまいます。たとえば、あなたがパソコン関連の消耗品を購入するとします。リアルなショップに出かけ、該当商品売場に行き店員に在庫を確認するでしょうか。そんな時代ではありません。大半の人は検索エンジンを購買行動の起点にしています。オフィスから出ることなく、該当商品を検索し売価比較までしてしまいます。稟議書の必要がない低価格商品だとしたら、その場で注文を出すかも知れません。
インターネットにおけるコンテンツは、検索エンジン、インフォメーション、コミュニティ、ECの4つに分類されます。筆者はWeb2.0時代の企業は、この4つの使い分けで、その存亡が確認できるのではないかと考えています。4つのうち最も重要な位置にあるのが検索エンジンです。検索エンジンは、マーケティングにおける消費者志向を知るための絶好のツールであると同時に、企業が検索エンジンを使いこなせるかどうかが、業種・業務に関係なくビジネス活動に大きな影響を与えます。検索エンジンにおけるヒット件数が、企業の集客と収益、利益率、サービス品質に直結するのです。「そんなオーバーな」と思われた読者は、複数の検索エンジンを使用して、競合他社や商品・サービス名でヒット件数を比較してみてください。市場における優劣がわかると思います。
「売れる」要因のなかに検索エンジンのヒット件数が影響していることは明白です。企業内に対検索エンジン向け部署があってもおかしくない時代だと考えます。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
【コラム】「売れるショップに売れる人」
・第15回 Web2.0からIT2.0に注目する時代 【Vol.34】
・第14回 みんなが参加できるシステムが成功へ導く 【Vol.33】
・第13回 攻めの姿勢の空気を充満させよう 【Vol.32】
・第12回 組織力を強化する2つの能力を育むもの 【Vol.31】
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