2019年のパートナー様のビジネスは、Windows ServerやPCのリプレース提案を中心に展開されると予想されています。また、春には和暦の元号改定、秋には消費税の引き上げ対応や軽減税率への対応が求められます。そこで、今回の特集では、期限が決められているITビジネスをカレンダーとし、テーマごとにパートナー様の商機を紹介します。 |
2019年5月の元号改正、10月の消費税増税・軽減税率制度スタート、そして2020年1月のWindows Server 2008/R2、Windows 7サポート終了と、今後1年間、I Tビジネスにおいて大きなイベントが続く。順序としては、改元をはじめとする法改正への対応が先行するが、その後のOS移行を考慮しないアプリケーション改修は二度手間につながりかねない。システム改修やO S移行を効率的に進める上でも、この先のI Tビジネスを巡るイベントを正しく把握することが大切になる。
2019〜2020年のイベントを整理したものが下のロードマップだ。この中でまず注目したいのが、2020年1月のWindows Server 2008/R2のサポート終了である。マイクロソフトの推計によると、2018年4月時点で稼働するWindows Server 2008/R2は国内で56万台に及ぶ。ある有力調査機関の調べでは、国内で稼働するサーバーの約3割が同O Sを搭載しているとみられ、サポート終了が大きな影響を及ぼすことは間違いない。そのためまずは、エンドユーザー様のOS運用状況を把握した上で適切な対策を提案していくことが大切になるだろう。次ページ移行は、各イベントにおいて注目すべきポイントを紹介していく。
エンドユーザー様の多くは、すでにOS移行を経験しているはずだ。だが、サーバーOS・クライアントOSの同時サポート終了は今回が初めてなだけに、より念入りに準備を進めることが大切だ。さらに従来のOSにはないWindows 10の特長にも注目する必要がある。
サポート終了後の課題としてまず挙げられるのが、セキュリティリスクの増大だ。その分かりやすい例が、2017年5月のランサムウェアWannaCryの流行である。Windows OSの脆弱性を突いた攻撃により、ゲートウェイセキュリティに大きな投資をする多くの企業が被害を受けたことは記憶に新しい。最終的には150カ国23万台以上のコンピューターに感染し、20万人以上が被害にあったと言われている。
だがその一方で、WannaCryが突いた脆弱性に関するセキュリティパッチは同年3月に公開されており、アップデートを済ませていたPCは安全に守られた。被害を受けたのは、サポートを終えたWindows XPなど、なんらかの事情でアップデートが行われなかったPCに限られていた。
別の視点から見れば、公開された脆弱性が攻撃のヒントになったことは間違いない。WannaCryが流行した際は、事態を重く見たマイクロソフトがWindows XPにもパッチを提供するに至ったが、それによって被った被害が回復できるわけではない。サポートを終了したOSの継続利用のリスクは、エンドユーザー様を悪意ある攻撃から守る上で今後も強く訴求していく必要があるだろう。
OS移行の第一歩は対象となる社内のIT資産の洗い出しだ。多くの企業はすでに取り組みを進めていることと思うが、もし手付かずのエンドユーザー様がいれば、今すぐ洗い出しを進めていただく必要がある。
まずサーバーOSであるWindows Server 2008/R2からの移行ポイントを見ていこう。2008年に登場したWindows Server 2008とそのマイナーチェンジ版であるWindows Server 2008 R2の特長の一つが、複数の仮想マシンを一台の物理サーバー上で動かす仮想化テクノロジーへの対応だ。マイクロソフトの仮想化テクノロジーHyper-Vを標準搭載し、仮想マシンによる運用がかなりの割合を占めることを考えると、Windows Server 2003以前の“物理から物理へ”という移行に比べ、比較的スムーズに移行は進められるだろう。
今回のサーバー移行において新たな注目点になるのが、移行先の選定だ。その選択肢は大きく、オンプレミスとクラウドの二つがある。近年、クラウドの優位性を指摘する声も多いが、企業情報システムの運用という観点で見ると、コストメリットも含めそれぞれ一長一短があるのが実情だ。
特に、データ処理量の増減が少なく、データ保全も含め、安心・確実な運用が求められる基幹系システムの場合、今後もオンプレミスを前提にした運用が主流になるだろう。一方のクラウドのメリットとしてまず挙げられるのが、必要な時に必要なリソースが即座に確保できる点だ。そのため、施策によってアクセス数の大きな増減が見込まれるWebサーバーのクラウド化は、コストの点でも管理の容易さという点でもメリットは大きい。今後のサーバー移行提案は、目的に応じたハイブリット提案が基本になるだろう。
オンプレミスへの移行の主要な選択肢になるのがWindows Server 2016だ。その特長の一つが、Storage Spaces Direc(t S2D:記憶域スペースダイレクト)と名付けられた新機能である。
近年、ITインフラ市場では、標準的なx86サーバーのリソースを利用し、これまでSANやNASが提供してきたストレージ機能をソフトウェアで実現するHCI(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ)が注目されている。すでに多様な製品が市場に登場しているが、S2Dを利用することで、使い慣れたマイクロソフト製品で統一したHCI構成が可能になる。ストレージ機器やネットワーク機器の選定・調達の手間を省くという観点からも、検証済みの構成で出荷されるS2Dを利用したHCIソリューションは一つの選択肢になるだろう。
次にクライアントOSを見ていこう。従来のOSとWindows 10の最大の違いは、半期に一度のメジャーアップデートを通して進化を続ける点にある。それはOS移行を不要にする一方、3月、9月に行われる大規模アップデートごとのアプリケーションや周辺機器の動作検証の必要性にもつながっている。すでに移行を終えたエンドユーザー様からは、アップデートに伴う不具合がすでに数多く報告されているのが実情だ。
Windows 10への移行においてぜひ注目したいのが、マイクロソフトが無償で提供するアップデート管理ソフト、Windows Server Update Services(WSUS)の活用だ。一度サーバーにダウンロードした上で、社内PCに計画的に更新プログラムを配信するWSUSにより、検証機に先行して適用し、生じた課題を解決した上で本番機に適用するというフローが可能になることがその理由である。
さらに2020年10月13日には、Office 2010のサポートが終了する。移行先候補は、永久ライセンス型のOffice 2016とサブスクリプション型のOffice 365の二つ。サブスクリプションビジネスの起点という観点からも、Office 365への移行を強く推奨したいところだ。そのポイントになるのは、@人への紐づけによるライセンス管理の容易さ、A働き方改革に対応した情報共有の実現の二点。特にテレワーク導入を検討するエンドユーザー様にとり、その基盤が構築できる点は大きな魅力になるはずだ。さらに、Office 365とWindows 10、さらにデバイスの管理(MDMツール)などのセキュリティ機能をセットにしたMicrosoft365も重要な選択肢になるだろう。
Office 365、Microsoft 365の販売は、大塚商会BP事業部が提供するエンドユーザー様向けECサイトとパートナー様向け管理機能を一体化したサブスクリプションプラットフォーム「くらうどーる」で容易に管理することができる。
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